
ご報告が遅くなりましたが、本年4月、パリミキアセットマネジメントの親会社であるパリミキホールディングスが非公開化いたしました。
しかも、銀行借り入れのみで、外部資本の助けを借りず達成でき、100%の経営権を確保できました。このような企業は非公開化する企業の10〜20%程度だそうです。
非公開化の難しさを痛感
事業は始めるより畳む方が難しく、結婚より離婚の方が困難だとよく言われますが、非公開化もまさにその通りでした。高値で株式を取得された投資家の皆様や、多くの社員にご迷惑をおかけし、また多額の借入により財務的にも大きな負担を負うことになりました。
非公開化の手続きも、様々なリスクを回避するため、長時間にわたる検討や準備に加え、多額の費用もかかり、困難を極めました。
近年、国内外で老舗企業や創業家が相次いでMBOに踏み切っていますが、その背景にある苦労は当事者にしか分からないものだと、身をもって痛感した次第です。
それでも、あえてこの道を選んだのには理由があります。
変容した株式市場
株式公開の本来の魅力は、広く投資家から資金を募り、事業拡大に充てられる点にありました。企業価値の向上が株価上昇として投資家に還元される、まさにウィンウィンの仕組みでした。
しかし近年の市場は様相を変えてきているようです。
経営者にとって公開の目的が投資回収のための出口戦略と化し、多くの企業は公開後、株価を上げるため、自社株買いや増配によって市場に資金を放出することに追われています。その原資を捻出するためにコストや人件費が抑えられ、株価上昇の恩恵はストックオプションを持つ一部の経営陣に偏りがちです。
また、成熟期に入り成長期待に応えられなくなった企業は、株価低迷とアクティビストの介入というリスクにさらされ、オーガニックな成長の代わりにM&Aへと走らざるを得ません。
近年叫ばれる企業統治改革やROE経営といった掛け声も、突き詰めれば投資家目線の効率性を求めるものであり、そこで行われているのは付加価値の創造というより、目先の数字を追う金融ゲームの感があります。
「魂が喜ぶ」経営を実践するために
今年2月のレポートで、情報と資本が尊ばれた時代から、精神性が重んじられる時代へと、60年ぶりの大きな転換が起きているとお伝えしました。
この視点に立てば、企業の価値は時価総額ではなく、どれほど社会的な意味を持ち、顧客や社員、関係する人々の「魂を喜ばせる」存在であるかによって測られるべきでしょう。
そもそも企業は金融商品でも、特定株主の所有物でもありません。
かつて、日本で事業を継ぐことは「家督を継ぐ」ことであり、財産よりも責任の継承という意味合いが強かった時代がありました。非公開化を経て強く感じるのは、取引先や地域社会をはじめとする様々なステークホルダーのための公器という、企業本来の姿を取り戻せたという安堵感があります。
公開企業であった30年間は、常に投資家の目を意識せざるを得ず、業績を優先するあまり、そのしわ寄せが社員に及ぶこともありました。顧客の魂が喜ぶ経営を実現するには、まず社員の魂が喜ぶ職場でなければなりません。
世界的にもパーパス経営やステークホルダー資本主義が語られる時代ですが、言葉を掲げるだけでなく、実際にそれを実行する覚悟が問われているのだと考えています。
今回の決断がどのような形で花開くかは未知数ですが、長い時間軸の中で夢を持って取り組んでまいります。
どうぞご期待ください。
日本的ファミリーオフィスの考え方 第3回(最終回): 新しい日本的ファミリーオフィスの提案 ――三方よしの思想×世界水準の仕組み
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