この7月1日から、パリミキアセットマネジメントは、パリミキホールディングス(東証7455)の一員となりました。多くの方々が「パリミキ=メガネ」のイメージを持つ中で、どうしてメガネ屋が資産運用業に興味を持ったのか、不思議に思われるかもしれません。実際、金融業者以外で資産運用業に参入している企業はほとんどないため、パリミキの動きは非常にユニークと言えるでしょう。パリミキが資産運用事業に興味を持ち始めたのは、1973年にパリにお店を開店した以前からです。頻繁にヨーロッパを訪れていた創業者の一人、多根裕詞は、日本とヨーロッパの違いに大いに刺激を受けていました。その中で、彼が感じたギャップの一つが資産運用業の発達でした。ヨーロッパでこの業界が発展した背景には、ユダヤ人の存在や十字軍の時代から脈々と受け継がれてきた歴史があったのでしょう。
パリミキ(当時の㈱メガネの三城)に入社してから4年目の1988年、私は香港に赴任しました。当時の香港はまだイギリス領で、アジアにおける最大の金融都市でした。パリミキはそこにメガネ店を一店出していましたが、私は当時出来立ての金融センタービルの一室に配属されました。1階には香港証券取引所があり、オフィスには当時全盛のロイターモニターが設置されていました。その後、さわかみ投信のスタートに弊社社長の磯野他数名が参画。1998年からの9年間、私はスイスを拠点に自社の資産運用を行うなど、着実に準備を進めてきました。
スイスでは、さまざまなプライベートバンクを紹介され、社長の多根裕詞は「情報が大事だから、最低限の金額で全ての銀行に口座を開けろ」と指示しました。その結果、12行の銀行と取引を開始し、それぞれの銀行の強みを活かした運用を行いました。また、彼らが投資しているファンドを紹介してもらい、18カ国、200か所以上のファンドを訪問しました。その頃一緒に旅行していたのが、現在のファンドマネージャー宇野隆一郎です。彼は当時あるファミリーオフィスの運用担当をしていました。このツアーは、様々な貴重な経験をもたらせましたが、その中で最も印象に残っているのが、投資仲間の質問とその答えです。その質問は「あなたの資産はどのように運用しているのか?」で、その答えが「自分のファンドに全額入れている」。全てのファンドマネージャーが同じ答えをしていました。
2013年には、さわかみ投信の澤上篤人会長からクローバー・アセットマネジメント(現パリミキアセットマネジメント)の経営への参画を打診されました。当時はアベノミクスが始まる時期で、円安株高になるという予測がありましたので、資産運用業に参入する絶好のタイミングでした。しかし、メガネ屋が他人の大事な資産を運用するのには少し気が引ける部分もありました。そんな時に背中を押してくれたのが、日本で同じ質問を行った結果でした。「あなたの資産はどのように運用しているのか?」に対する答えが、「運用するお金がない」「社内ルールでできない」「儲かるわけがない」。海外とまるで違う答えでした。これが運用成績を悪くし、日本人の投資意欲を阻害している根源だと悟りました。「だったら自分たちも投資したいファンドをつくろう」と決心しました。「あいのり投資」の誕生です。
長く続いたデフレが終焉し、インフレが到来しても金利は当分そのままでしょう。この意味で、リスクをとって運用する時代の到来です。そこで、50年以上の準備期間を経て、パリミキホールディングスとして本格的に資産運用業に参入することになりました。今後も「あいのり投資」の精神を大事にしながら、長期的に皆様に「トキメキとあんしん」を提供できるパリミキアセットマネジメントを目指して参ります。
なお、私、多根幹雄は代表取締役会長を退任し、親会社株式会社パリミキホールディングスの会長として、引き続きパリミキアセットマネジメントに関わってまいりますので何卒よろしくお願いいたします。
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