2024年 年末までの相場見通し

2024年07月05日

この2024年前半のマーケットを振り返ってみますと、前半の3月までは日経平均が、4月以降はS&P500が追いつくように上昇し、終わってみると、日経平均が年初来+18%(終値ベース33,464→39,582円)、S&P500が+14%(同4,769→5,460p)上昇と、年初に掲載した見通し(20231229_ainori_monthly.pdf.pdf (pmam.co.jp))に記した目標値(日経平均:「39,580以上」、S&P500:「5,530」)もほぼ達成してしまいました。
さて、今後の年末までのマーケットにつきましては、以下の理由から、底固めをしながら、来年前半に向けて上昇準備期間と位置付け、ここからは多少の上昇、日経平均は年末42,000、S&P500で5,800程度を見ています。
まず米国市場ですが、年初の見通しに記載した理由の通り、企業業績が良い一方で政策金利を引き下げる見通しと期待があることなど、今年は米株式市場にとって非常に良い環境にあることは変わらず、引き続き強気のスタンスでいて良いと思います。但し、この6か月である程度の水準にきたこと、また例年大統領選挙の年は選挙前の不透明感もあり、9、10月あたりは弱くなることが多いです。
従いまして、若干の調整する期間はあるだろうと考えますが、一方で次の根拠からその調整も大きくないと考えます。
①市場参加者の多くが既に今年秋(9-10月)の調整を見込んでおり、逆に調整を期待している投資家が多いこと。
②来年の企業業績を織り込み始める時期であり、2025年のアナリスト予想の企業利益は年初よりも高い14%(年初は12%)の成長が見込まれており、今年の予想成長率11%成長から更に加速が見込まれていること。
③5%の金利を享受していると思われる6兆ドルの待機資金(MMF)は年初からも増加傾向にあります。今後の利下げ予想や、昨年来の株式40%上昇の中で機会損失を身に染みている投資家が、来年も株式は強いという観測が出てくればいよいよ動き出す、あるいは下がったところは買われるのではないかと考えます。
続いて、日本株市場ですが、以下の理由により、今年は40,000円辺りを地固めしながら、来年は50,000円に向けた動きがあるのではと注目しております。
1.
今期業績は、保守的に予想していることと、最近の指標から国内消費が落ち込んでいることから、株価の決定要因であるEPS(1株当り利益)は2,360円あたりで伸び悩んでいます。しかしながら、来年の予想では、今年よりも成長が見込まれ、今年後半は、来年の業績織り込みが入り始めること。
2.
株価のもう一つの決定要因であるPER(株価収益率)が現状17倍台で過去平均レンジ(12倍~17倍)の上限に来ていますが、以下の理由により、レンジを抜け20倍台に向けて上昇するのではと考えています。この根拠としましては、

日本ではインフレが定着してきている一方、先進国でも珍しい実質金利(=政策金利-インフレ率)が引き続きマイナスの状態であり、日銀の政策金利も現在の弱い国内経済状況から金利引き上げは難しく(若干の引き上げはあるかもしれないですが)実質マイナス金利は継続すると判断するからです。米国S&P500のPERが現状22倍台であり、この日本の金利環境を加味すると日本株式のPER上昇余地はあると考えます。

今年は新NISAが導入され、日本人の投資に対する知識やスタンスも徐々に変化してきています。年初からオルカン(全世界株式の投資信託)やS&P500へ投資(積み立てを含む)をしてきた人は為替益を含めると20%近くの利益になっている人も多いと思います。その成功体験の広がりや、インフレが定着する中で、インフレヘッジ対策に最も身近に始められるのは株式投資だと思いますので、株式に対する人気度を示すPERが上昇することは(1990年頃の70倍には程遠いですが)十分ありえるシナリオと考えます。(因みに、現状のEPSx20倍は約47,000円。現在米国株と同じ22倍ですと、EPSx22倍は約52,000円になります。)
リスクとしては、米国経済の後退懸念、AI関連大手企業の業績伸び鈍化、インフレが再燃し米金利を引き上げざるを得なくなることなど。秋には米大統領選挙の不透明感などを挙げて弱気になる投資家も多いと思いますが、今年後半は大事に至らず、上記の理由により調整局面は日米株式の買い場を提供することになるのではないかというのが、私の年末までの見通しです。

宇野隆一郎
執筆者
宇野隆一郎
株式会社パリミキアセットマネジメント
ファンドマネージャー
1988年に富士銀行(現みずほ銀行)に入行し、主に国際部門を中心に国内及び証券部門にて従事。1998年には当時のスイス富士銀行(スイス・チューリッヒ)に駐在し、プライベートバンキングや運用の奥深さを体現し、以来マーケットの魅力に取りつかれました。2004年にドイツ銀行のプライベートバンキング部門に転職。その後独立し、ファミリーオフィスの運用を担当。1か月の内、約半分近くを海外に出張し、年間約100以上の世界中のファンドマネージャーとミーティングを行っていました。その時に、多根さんと出会いました。2009年にシンガポールに拠点を移し、ファンドに限らずあらゆる金融商品の運用を行い、2017年に帰国後も個人投資家として相場・トレードの研究に勤しんでまいりました。相場で大切なことは大局観であり、ファンダメンタル同様、時間と価格の分析も行いながら大局観を把握し、それに見合った旬なファンドを常にアップデートしていきたいと考えております。

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