「奈良の鹿 第一言語は 中国語」、これは、新型コロナ流行前に、奈良公園で作った川柳です。
奈良公園の鹿たちは、鹿せんべいをたくさん貰うためには、中国語が分からなければいけませんでした。鹿慣れしている日本人より、鹿にせんべいを与えるのは、中国語を話す観光客が多かったのです。
8月初め久しぶりに奈良公園に行きました。猛暑にもかかわらず、外国人観光客は結構多く、中国語もよく聞かれました。
でも、以前のようにほとんどの観光客が中国語を話すというような状況ではありませんでした。また現在、中国は、日本への団体旅行を認めていないので、中国人観光客が急激に増えることもないようです。
そこで、奈良公園の鹿たちは、せんべいを確実に貰い続けるために、言語の国際分散が必要になったというわけです。
人間の世界でも、コロナ禍の間、コロナ対策としてロックダウン(日本では緊急事態宣言)が行われたほか、ロシアのウクライナ侵攻、世界的インフレと各国中央銀行による金利引き上げなどがありました。
コロナが蔓延し始めた令和2年1月から現在までに、それまで想定もしていなかった事象が起き、世界の状況は大きく変化しています。
また、日本でも長年続いたデフレからインフレに移行しつつあります。
一方で、コロナ対応で各国政府が大幅に財政支出を増やしたこともあり、金融資産価格は大きく変動しましたが、結果的には順調です。実際、私が投資の目安としている二つのETF(上場投資信託)は、この3年7か月間に、日経225は40%、MSCIコクサイ(日本を除く先進国株式に投資)は71%と、ともに上昇しています。
現在、コロナは、ほぼ収束しましたが、なお先行きの見えないロシアのウクライナ侵攻、米中対立の激化、台湾有事懸念など多くのリスク要因があり、それらは、日本にも大きな影響を与えることは間違いないと思われます。
一方で、日本のインフレ傾向が今後も続くとすれば、低金利の預金だけでは将来的な資産保全に対応しきれません。
従って、リスク要因は数多くあるものの、今後の資産運用も、適切な資産配分によりリスクを抑えながら、株式主体の国際分散投資を長期目線で行うしかないのではと思います。
執筆者:永井 哲
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