(続)今後の相場見通し

2024年04月01日

前回年初に掲載した「2024年相場の見通し」(https://pmam.co.jp/assets/2024/01/20231229_ainori_monthly.pdf.pdf)以降、今年第一四半期の3か月間で日米株式相場(S&P500 +10%、日経平均 +21%)は大きく上昇しました。

私が年初に掲げた年末の目標値はS&P500が5530(昨年末比+16%)、日経平均が39580円(同+18%)以上としていましたので、S&P500であと6%、日経平均では既に下限を達成してしまっております。想定より早く上昇したのは、米国にて想定以上に早い段階でAIブームが起き、日本の半導体大型銘柄が日経平均を牽引したことが大きいです。

今後もAIブームが更に活況を呈してくれば大きく超えていくことは十分に考えられますが、S&P500の目標値5530は今年の予想EPSの22.7倍、2025年予想EPSの20倍であり、過去の平均PERよりも高い水準であること。また日経平均の目標値39580以上についても、やはり40000円台は大きな節目であり大台を十分時間かけてこなすことが必要と考える為、目標値の修正は行わないでおきます。

 

さて、再度現状のマーケット環境を考えてみますと、引き続き「良い」ということは年初から変わっておりません。即ち、①底堅い米国経済 ②インフレは大局で鎮静化へ向かっていること ③米政策金利引き下げのタイミングを見計らっている状況にあること ④待機資金が潤沢にあることに加え、今年のイベントとして⑤大統領選挙、更に⑥数十年単位での技術革新(AI)が起きていて、今後何年にも亘り設備投資が活発に行われ、生産性の向上も期待できることでPERの上昇により株価の上昇が期待できることなどです。当然相場のことなのでちゃぶ台返しはいつでも起こりえますし、細かいことを言えばきりはないのですが、投資環境としては申し分のない珍しい時期であると考えています。

 

この様な中、直近での現実的なリスクは、①インフレの再燃、並びに②米国経済が急に景気後退に陥ることだと思っております。

①インフレにつきましては、年初からのWTI原油価格(2024.1.2  71ドル→2024.4.1時点83ドル)の上昇、住宅価格の再上昇などの経済指標を見ても、インフレは粘り強くその再燃が懸念されつつあります。これにより、FRBの今年の利下げ回数が3回から1回程度(年初マーケットは6回を想定)になるのではとの懸念から現時点の米長期金利は4.4%近くまで上昇してきています。

金利上昇は株価と逆相関の関係にありますので、株価は抑えられますが、根底には強い米国経済があるからであり、私は景気後退に陥らなければ今年の株式は調整があっても短く浅いもの(通常の年に1回の10%程度調整の可能性はありますが)にとどまるのではないかと考えています。それは今年が上記のような特殊な投資環境にあると思うからです。

また、②米国経済の急な失速ですが、その場合、FRBは躊躇なく利下げに踏み切ると思いますし、予想されているQT(量的引き締め)ペースの引き下げ額も大きなものになると思います。経済についてFRBが最も重要視しているのは雇用だと思います。

 

日本につきましては、今後も新NISAの定着による預金から株式を中心とした資金のフローが期待できること、世界的なAI投資の進展による半導体産業の活発化、その他企業改革の進展など投資の好環境が続くことは十分に期待できます。直近までは外国人も投資し易い大型半導体銘柄などに資金が集中していましたが、今後はその周辺ならびに引き続きバリュー銘柄の物色、更には中小型グロース株などへ矛先が向かうのではと考えています。

急速な上昇は一時的な調整は想定すべきですが、それを補っても投資妙味は十分にあるマーケットだと思っています。

宇野隆一郎
執筆者
宇野隆一郎
株式会社パリミキアセットマネジメント
ファンドマネージャー
1988年に富士銀行(現みずほ銀行)に入行し、主に国際部門を中心に国内及び証券部門にて従事。1998年には当時のスイス富士銀行(スイス・チューリッヒ)に駐在し、プライベートバンキングや運用の奥深さを体現し、以来マーケットの魅力に取りつかれました。2004年にドイツ銀行のプライベートバンキング部門に転職。その後独立し、ファミリーオフィスの運用を担当。1か月の内、約半分近くを海外に出張し、年間約100以上の世界中のファンドマネージャーとミーティングを行っていました。その時に、多根さんと出会いました。2009年にシンガポールに拠点を移し、ファンドに限らずあらゆる金融商品の運用を行い、2017年に帰国後も個人投資家として相場・トレードの研究に勤しんでまいりました。相場で大切なことは大局観であり、ファンダメンタル同様、時間と価格の分析も行いながら大局観を把握し、それに見合った旬なファンドを常にアップデートしていきたいと考えております。

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