2025年 年末にかけての相場見通し(2025.7.4)

2025年07月09日

年末の目標数値を引き続き以下の通りとします。

・S&P500(米国): 5,900p 年末比+0%(←年初目標は6,900 p 年末比+17%)

・日経平均(日本): 41,000円 年末比+3%(←同 45,000円 年末比+13%)

※但し、両指数共、年間で高値から▲10~15%の下落局面を想定。(不変)

 

現状の株価水準は既に年末の目標値を上回る水準にありますが、以下のように考えます。

今年前半は、4月上旬にトランプ大統領による予想をはるかに超える相互関税の発表により、米国株や日経平均などは大きく下落し、その後の約3か月で急速に戻しました。

それは以下の環境に基づくものでした。

 

・トランプ相互関税発表後、90日間の交渉期間を設けたこと。

・センチメントを示す指標は悪化したものの、実体経済を示す指標は悪化しなかったこと。

・インフレデータも駆け込み需要の影響で価格の上昇が見られなかったこと。

・割高感があった年初の株式相場が20%近くの下落により割安となったこと。

・M2が史上最高水準にあり、資金の流動性が非常に高いこと。

・6月下旬に地政学リスクが遠のいたこと。

・大幅下落後の上昇に乗り遅れた市場関係者が多かったこと、などです。

 

 

6月にかけて株価はその下落を全て取り戻し、株価指数によっては史上最高値圏に推移していますが、ここから大きく上昇することは簡単ではないと考えます。

それは、この3か月間で好材料が殆ど出尽くした感があり、株価が再度割高圏に戻ってしまったことから、以下のような悪材料に焦点が当たる可能性があると思うからです。

 

① 雇用の内容が少しずつ緩くなってきていること。

② 債務上限の引き上げを含む大型減税法案可決により、財政悪化懸念が高まる可能性があること。(議会予算局(CBO)の計算によると、今後10年で約3.4兆ドルの赤字が増えるとのことです)

③ インフレ指標は下げ止まり感があり、インフレ圧力が依然として残っていますが、今後関税の交渉期限到来による各国の関税発動により上昇圧力が増すこと。

④ 長期金利の上昇サイクルは始まったばかりであり、財政悪化やインフレにより金利が高止まりする可能性が高いこと。

⑤ 大型減税法案により減税は実現されるものの、一方で消費者による関税負担がかかり、減税効果を相殺することになること。

 

但し、今年後半は、経済が急激に悪化し景気後退になることがない限り、下落しても4月の安値を下回ることはなく年末には上昇が見られ、2026年に向けて更に上昇していくものと考えます。

 

日本株については、今後円高局面も想定され、上値を抑えることはあると考えますが、インフレが進む中、全体的には底堅い展開となるものと考えます。

現時点で個人的に考えていることを述べましたが、状況が変わり次第見通しは変えていく予定です。

宇野隆一郎
執筆者
宇野隆一郎
株式会社パリミキアセットマネジメント
ファンドマネージャー
1988年に富士銀行(現みずほ銀行)に入行し、主に国際部門を中心に国内及び証券部門にて従事。1998年には当時のスイス富士銀行(スイス・チューリッヒ)に駐在し、プライベートバンキングや運用の奥深さを体現し、以来マーケットの魅力に取りつかれました。2004年にドイツ銀行のプライベートバンキング部門に転職。その後独立し、ファミリーオフィスの運用を担当。1か月の内、約半分近くを海外に出張し、年間約100以上の世界中のファンドマネージャーとミーティングを行っていました。その時に、多根さんと出会いました。2009年にシンガポールに拠点を移し、ファンドに限らずあらゆる金融商品の運用を行い、2017年に帰国後も個人投資家として相場・トレードの研究に勤しんでまいりました。相場で大切なことは大局観であり、ファンダメンタル同様、時間と価格の分析も行いながら大局観を把握し、それに見合った旬なファンドを常にアップデートしていきたいと考えております。

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