いまこそ、自立のチャンス

2025年06月10日

今日、これまで国際秩序の安定を主導してきたアメリカが、自国第一主義に舵を切る動きは、世界に少なからぬ衝撃を与えています。そして日本でも、これまで長らく安定多数を維持してきた自民・公明の連立政権が、ついに過半数割れを起こし、次の選挙では政権交代の可能性もささやかれています。

長く続いた「安定」の土台が揺らぐいま、多くの人が「これからどうなるのだろう」と不安を感じているかもしれません。でも、私はあえて、こう問いかけたいのです。「この不安定な時代は、私たちが自分の足で立つチャンスではないか」と。

 

「依存」から「自立」へ

これまで日本は、外に内に、さまざまな意味で“依存”の構造のなかにありました。経済対策や地域振興は中央政府任せ。地方では「補助金が出るからやる」「国の制度に合わせる」といった考え方が当たり前のように広がり、日本人が頼りにしている国家も、外交・安全保障を中心にアメリカに頼るのが当たり前になっていました。

その結果、いつしか「自分で考える」「自分で責任を取る」という意識が薄れていったように思います。しかし、その「親」のような存在だった日本国家やアメリカも、これまで通りに面倒を見てくれるとは限らない時代になっています。

つまり、私たちは今、否応なく自分で考えて、自分の責任で動く「自立」の時代の入り口に立たされているのです。

 

スイスに学ぶ自立心

実はこの「自立」については深い思いがあります。私が最初に書いた『スイス人が教えてくれた がらくたではなくヴィンテージになる生き方』という本がありますが、そのきっかけは、日本人とスイス人はとても似ているのに、どうしてこれだけ豊かさに差が出ているか、という疑問からでした。

当時2016年ごろで一人あたりGDPが2.5倍、今や4倍以上もの差がついています。結局、この最大の要因がスイス人の「自立心」ではないか、ということを発見したのです。

 

これに最初に気づいたのが、スイスの医療保険制度からでした。

日本のように少ない個人負担で誰でも手軽に医療サービスを受けられるのとは異なり、ある一定金額までは全額自己負担、ある上限を超えると一割自己負担になるという制度です。ですから子供が風邪をひいても、当時のお金で15,000円くらい、今だと25,000円以上という高額の負担となります。そのため、風邪や病気にならないよう、普段から努力することになり、結果として病気にもならず、医療費も節約できました。

 

これ以外にも調べてみると、出るは出るは、スイスの人々が国に頼るのではなく、皆で国を支えている仕組みや考え方が隅々に浸透している事実にびっくりしました。詳しくはぜひ拙著をご覧ください。

 

自立の第一歩は「お金」と「健康」から

では、どこから「自立」を始めれば良いでしょうか。まずは「お金」と「健康」の自立から始めてはいかがでしょう。このコラムをご覧の方は、既に「お金から自由になるため」に自立の道を歩んでいらっしゃると思います。

一方「健康」ですが、実は、日本が誇る国民皆保険制度も今や存続の危機に瀕しています。財政難を理由に薬価や医療点数が長年抑えられる一方で、コストや人件費の高騰により病院経営が逼迫しており、今後は自由診療が主体の時代が来ようとしています。そういう時代だからこそ、自ら生活習慣を正すことで、具体的には「食」「運動」「睡眠」に気を付けることで、医療の世話にならない健康自立者を目指してはいかがでしょうか。

 

不確実性の時代を希望に変える

私たちはいま、大きな時代の節目に立っています。「もう国には頼れない」「アメリカにも期待できない」と嘆くのではなく、「だからこそ、自分たちでやってみよう」と思えるかどうか。その意識の転換こそが、次の時代をつくる一歩になるはずです。

誰かが敷いてくれたレールを歩くのではなく、自分たちの手で、これからの道を切り拓いていく――そんな時代が始まっています。

この転換期を、恐れるのではなく、希望として迎えていきましょう。

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキホールディングス
代表取締役会長
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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