「令和の米騒動」、そして未来へ

2024年09月10日

今年の夏、思いがけない騒動が日本を駆け抜けました。そう、米不足騒動です。当初は昨年の猛暑による不作や、増加するインバウンド需要が原因だと囁かれていました。しかし、実際のところ2023年産のお米の作況指数は「101」。平年並みなのです。インバウンドの影響も、滞在中毎食お米を食べたとしても0.5%程度。さて、真犯人は一体誰なのでしょうか。

実は、お米の値段は春以降じわじわと上昇していましたが、急激な変化が訪れたのは8月5日の週。前年比で何と179.9%もの急上昇です。この時期に起こったのが、あの「南海トラフの臨時情報」。その後、関東での地震の連続もあり、さらなる上昇を後押ししたようです。

ここで、地震予知について少し寄り道をさせてください。私が理事長を務める島根県の奥出雲多根自然博物館。その初代名誉館長は、東大名誉教授の竹内均先生でした。科学雑誌「ニュートン」の創刊者であり、地震のメカニズム解明に貢献した地球物理学の権威です。映画「日本沈没」(新作ではなく、申し訳ありませんが古い方です)に実名で出演し、丹波哲郎扮する総理大臣の前で地震を解説したほどの方でした。

その竹内先生から繰り返し聞かされたのが、地震予知の難しさです。先生の持論は「予知に大金をつぎ込むより、必ず起こる地震の被害を最小限に抑える対策にこそ投資すべき」というものでした。理論だけでなく実践も重んじた先生は、ガス会社と協力し、一定の震度で自動的にガスの元栓が閉まる仕組みを作り上げました。これにより、火災などの二次被害を大幅に減らすことができたのです。

今回の南海トラフ臨時情報。日向灘を震源とする最大震度6弱の地震を受け、初めて発令されました。マスコミも大々的に報じ、多くの人が不安に駆られたことでしょう。検討会としても、予算を得ている以上、何かアクションを起こさねばならなかったのかもしれません。ただ、マスコミの派手な報道ぶりには注意が必要です。視聴率至上主義に惑わされず、冷静に対応したいものです。とはいえ、日頃の備えは怠りなく。

この騒動、迷惑な面もありましたが、久々にお米の大切さを再認識するきっかけにもなりました。実は、今回の問題の根底には、長期的な米の生産量減少があります。一人当たりの消費量は1962年の118kgから2022年には51kgまで落ち込み、1971年から2018年までの減反政策もあって、作付面積は262.6万ヘクタールから134.4万ヘクタールへ。生産量も1078.2万トンから716.6万トンへと激減しています。

この生産量の減少に加え、農家の所得問題も深刻です。懸命に作っても、赤字になるケースも少なくありません。そして、さらに日本の稲作を脅かしているのが農家の高齢化です。先祖代々の農地や稲作の伝統を守り続けてきた農家の多くが、今や高齢化の波に飲み込まれています。日本の基幹産業を支えてきたこれらのベテラン農家が徐々に引退していく中、その技術と知恵を受け継ぐ若い世代が不足しています。このままでは、彼らがいなくなった後、誰がお米の生産を担っていくのか。日本の食卓を支える「農」の未来が、今まさに危機に瀕しているのです。

 

そんな中、希望の光となる取り組みをご紹介します。奥出雲の博物館では「暮らせる博物館プロジェクト」の一環として、スーパーブランド米の生産を今春からスタートしました。単なる味だけでなく、「環境」にもこだわったお米です。山から流れる自然水をそのまま使い、多様な生き物が息づく「生きた田んぼ」で育てた、生命力溢れるお米なのです。生きた田んぼを守るために農薬や除草剤を使わず、水の管理や土の状態に気を配り、時間も手間も多くかけ、よりよい品質のお米づくりを目指しています。

名高い「仁多米」の産地でもある当地で、さらに高品質なお米を作り、その労働力と時間の価値を認めた価格でお米を買い取る仕組みをつくることで、若い生産者の移住や育成にもつなげていく。そんな意気込みのプロジェクトです。新米の季節を迎え、このお米をご希望の方は下記までご連絡ください。数に限りはありますが、パリミキアセットのお客様用に特別に確保させていただきました。初年度特別価格として、5kgを玄米6,000円、白米7,000円(送料別)でご提供いたします。

日本の食文化と農業の未来を支える、新しいお米の物語。ぜひ、皆様のご支援をお願いいたします。

 

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株式会社パリミキアセットマネジメント(受付時間:平日9時~17時)

・お客様専用通話料無料ダイヤル:0800-5000-968

・E-mail: support@pmam.co.jp

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキホールディングス
代表取締役会長
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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