BRICsのその後

2024年06月11日

かつて世界を賑わせた「BRICs」という言葉。ゴールドマン・サックスのジム・オニールが2001年に発表したレポートで、ブラジル、ロシア、インド、中国を総称したこの言葉は、瞬く間に世界中で広まりました。2011年には南アフリカ共和国が加わり、BRICSとなりました。そして、2024年にはエジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦が新たに加わり、「拡大BRICS」や「BRICSプラス (BRICS+)」として再び注目を集めています。

インドの飛躍

BRICSの中で今後の成長が最も期待される国、それはインドでしょう。BRICs発足当初、中国に後れを取っていたインドは、今や人口で中国を抜き世界一となりました。ITや薬品分野での強さ、そしてアメリカの最先端企業で活躍するインド人の数々。これらの要素が相まって、インドは時流に乗り、急速な成長を遂げています。そのインドを率いるのが、日本でもお馴染みのモディ首相。彼の鋭い眼光と迫力は、まさにリーダーの風格を感じさせます。総選挙では苦戦したものの、与党は過半数を維持し、彼は3期目の運営に入ります。

モディ首相が就任した2014年は、拙著「JAPAN IS BACK」で紹介した通り、干支の60年サイクルで運気が変わる大きな節目の年でした。その後のインドの発展を見ると、この年にモディ氏のようなリーダーが誕生したのは歴史の必然とも言えるでしょう。地政学的には中国との緊張関係が大きく、日本との関係強化を望むインド。IT人材の豊富さと日本の資金・技術が補完し合う関係は、両国の未来に大きな期待を抱かせます。

ロシアと中国の節目

他のBRICS諸国にとっても、2014年は節目の年でした。現在世界を騒がせているロシアは、2014年にクリミア半島を侵略し占拠。これに対する西側諸国の経済制裁により、高成長から一転して急ブレーキがかかってしまいます。ウクライナとの戦争では戦況は優位ですが、EU加盟国が増大し、ロシア側の国々は次々と離反。今や中国に頼らざるを得ない状況にまで追い込まれています。今後20年は混迷の時代が続くでしょう。

中国にとっても2014年は重要な転機でした。米中冷戦のきっかけとなったアジアインフラ投資銀行(AIIB)の発足。AIIBは中国が主導する国際金融機関で、2013年に習近平が提唱し2015年に発足しました。アメリカは同盟国に対して加入を勧告しましたが、多くの国が加盟。これによりアメリカが中国の存在を脅威と感じ始め、米中冷戦へと突入しました。その後の不動産バブル崩壊により、中国はかつての日本を上回る規模での低迷が予想されます。台湾や南シナ海、インドとの国境問題、EUとの関係悪化も重なり、中国の国際的な孤立感は深まるばかりです。「次は中国の時代」と言われた予想は裏切られることとなります。やはり「コンセンサスは間違う」のです。

また、好調だったブラジルと南アフリカも、2014年を境に低迷が続いています。これらの国々にとって、しばらくは厳しい時代が続くでしょう。

長期投資の視点

このように、長期投資においては30年、60年単位での視点が重要です。企業にも同様のサイクルが存在するかもしれません。目先のトレンドやコンセンサスに惑わされず、自らの信念で臨むことが求められます。

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキホールディングス
代表取締役会長
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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