1951年(昭和26年)1月、茨城県の片田舎で元気な男の子が誕生した。男の子はすくすくと育って小学校入学時は身長96㎝、中学校入学時は135㎝メートルといった状況で、小学校入学から中学校卒業まで概ね先頭に立っていた。トップにいたということで自慢できるのはこれくらい。その後、身長も160㎝を超え、トップの座は他人に譲ることとなった。だからというわけではないが、1976年(昭和51年)2月結婚。今年で45年となった。
この男の子の誕生と同年の1951年(昭和26年)3月、千葉市検見川の東京大学検見川更生農場で行われていた「縄文時代の船溜まり」と推測された「落合遺跡」で、植物学者の大賀一郎氏による発掘調査中、ボランティアで参加していた地元の女子中学生によってハスの実一粒が発掘され、その後4月には更に二粒、計三粒が発掘された。大賀氏による発芽育成は二粒が失敗したものの女子中学生が発掘した一粒は育ち、翌年7月にピンク色の大輪の花を咲かせ「大賀ハス」と命名された。
2021年(令和3年)6月、久しぶりに夫婦で千葉公園へ出かけた。前回は一番上の孫が未だ幼いころの梅か桜が咲く時期だったように思うから、彼此10年ぶりかもしれない。自宅から公園までは車で約10分。公園駐車場は6時に開場するとの情報があったので6時5分頃には家を出た。これまでは静かな公園だったが、何と駐車場は車で一杯。ちょうど退出する車があったので運よく駐車できた。人々の目的地は私たちを含め公園内の「ハス池」。そう、この時期、千葉県の天然記念物であり、千葉市の花として制定されている「大賀ハス」の「祭り」が開催されている。大輪の蓮の花が咲き誇っている。花の数よりカメラの数、カメラの数より人の数がそれぞれ上回っている。歩くのも気を付けなくちゃ。
男の子は70歳となり、大賀ハスも新たな開花後70年になり、毎年新たな年を迎えている。蓮の花は数日後には散り、人の身体は寿命(人生100年と謂れているが)を迎えて散るけれど、大賀ハスのように約2000年の時空を超えて復活する如く、人の生きる力は子々孫々繋がれ大輪の花を咲かせるだろう。
執筆者:鈴木隆雄
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