蜂球

2022年08月09日

子供の頃から昆虫などを観察するのが好きで、今でもYouTubeなどで生物に関する動画を楽しんだりしているのですが、そのフォルムのかっこよさから「蜂」は好きな昆虫の一つです。

今回は蜂のなかでも私達にとって身近な存在であるミツバチについてご紹介いたします。

みなさまはハチミツを作る際にミツバチが利用されていることはご存知だと思いますが、実は製造されているハチミツのほとんどは「セイヨウミツバチ」という明治時代にアメリカから日本に運ばれてきた外来種のハチの力を借りて作られています。日本には「ニホンミツバチ」という在来種のミツバチが生息していますが、ニホンミツバチはストレスに敏感で、巣箱を頻繁に開けたりするとすぐ新しい巣に引っ越してしまうことと収穫できるハチミツの量が少ないということもあり、そのハチミツは貴重とされ高値で取引されています。一方家畜化されたセイヨウミツバチは収穫できるハチミツの量もニホンミツバチと比べると多く、忍耐強く同じ巣に帰ってきてくれます。

ハチミツを収穫するにはミツバチを野に放つ必要があり野生化が心配されますが、セイヨウミツバチは野生化しにくいといわれています。その理由はセイヨウミツバチが日本の環境に対応しきれていないことと、天敵である「スズメバチ」の存在にあります。特にオオスズメバチはミツバチと比べて何倍もの大きさがあり、その毒針と強靭なアゴでミツバチの巣を襲い、数匹で1つのコロニー(群れ)を壊滅に追いやります。セイヨウミツバチはスズメバチに抗う力が弱く、養蜂家のサポートが必要なため野生として定着することが難しいと考えられています。

一方、ニホンミツバチはスズメバチに襲われた際に特殊な方法で抵抗します。数百匹で一気にスズメバチを取り囲んでボール状になり、自らの筋肉を細かく震わせ熱を発します。ボール状になったニホンミツバチの塊は「蜂球(ほうきゅう)」や「熱殺蜂球(ねっさつほうきゅう)」と呼ばれ、その内部の温度は46℃~48℃に達し、さらに二酸化炭素の濃度も高くなります。スズメバチが生命を維持できる温度が45℃、ニホンミツバチは49℃程まで耐えることができるため、その僅かな差を利用しスズメバチと戦います。最近の研究ではセイヨウミツバチも「蜂球」をつくってスズメバチに対抗する場合があることがわかってきましたが、自らの力では内部の温度は44℃~45℃程までしか上がらず、スズメバチに致命的なダメージを与えることはできません。しかし、その毒針を刺しスズメバチが激しく抵抗することでスズメバチ自身が発熱し、蜂球内部の温度がさらに上昇し結果としてスズメバチを撃退します。最初は蜂球を作れなかった群れが、スズメバチと出会うことで蜂球を作れるようになり、回数を重ねるごとに内部の温度もどんどん高くなりスズメバチのいる環境に適応していくという説もあるようです。

今回ご紹介した内容については諸説ございますが、強大な困難を目の前にした時に潜在的にもっていた戦う術を呼び覚まし、仲間とともに立ち向かう姿に生命の神秘を感じました。ハチミツだけでなく様々な農作物の受粉を促し、私達の生活を支えてくれるミツバチ達に感謝したいと思います。

執筆者:入江孝之

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