たねころ山農園

2019年12月10日

tanekoro.pngクローバーのFacebookで何度かご紹介していますが、伊豆半島の宇佐美で農園を運営しています。4年前に、個人的に約5,500坪の旧みかん山を取得し、農業を始めました。といっても、ほぼ365日せっせと農園と二匹のヤギを汗だくになりながら世話しているのは家内で、私は休みの日に手伝う程度。それでも週明けはドッと疲れが残ってしまいます。ただでさえ広い敷地で大変なのですが、特に夏の伊豆の南斜面の暑さときたら、立ってるだけでも朦朧とするくらいひどく、そこでの農作業は過酷を極めます。周辺の農家は夏は日中を避け、朝夕だけの作業なのですが、我々は熱海の自宅からの通いになるため、どうしても昼間の作業となるのです。さらに、夏には雑草が容赦なく繁茂し、農家の仕事の多くはその草刈りになりますが、ほとんどの敷地が斜面なので、作業は足腰に堪え、家内も持病のひざ痛がなかなか治りません。

時々「なんでこんなにつらい思いして・・・」と思う度に、そもそもの始めた理由を思い返します。2014年の春に、母が他界しました。正直、晩年の母の生き方は、息子の私から見ても幸せな生き方とは思えず、それで病気になったようなものでした。ではどんな生き方がよかったのか?そんな思いで考えたのが、「皆で耕し、収穫し、料理を創り、楽しくおしゃべりして食事をする」ような食を中心とした生活でした。そうすれば、医療や薬の助けを借りることなく、最後まで元気に生きていけるでしょうし、それが広がれば健康保険制度も破綻から救えるでしょう。日本の平均寿命は女性が87.32歳、男性が81.25歳で、それぞれ2位、3位と好成績ですが、健康寿命というとそれぞれ74.79歳、72.14歳と大幅にダウンしてしまうのです。こんな状態で長生きしても嬉しくないですしね。

悪く作業が過酷なため、せっかく長年苦労して開拓した山林も、後継者が見つからず耕作放棄地としてどんどん山に戻ってしまっています。しかし、観光目的の農園という目で見てみると、その価値は違ってきます。景観も良く、地形も変化に富み、森林も様々な楽しみを提供してくれます。さらに軽作業なら足腰の鍛錬にもなるというメリットがあります。休耕地を活かした新しい「農」のビジネスモデルが出来れば、放棄地も減り、もともと極端に低い、日本の食料の自給率にも貢献できるのではと考えています。また、最初はある程度年齢のいった方々をイメージして始めた農園でしたが、いろいろな方に来ていただいて実験する中で、子供たちの反応が良いことに気づきました。最近の子供たちは、部屋でスマホをいじっているイメージがあり、山に来ても遊べないのではと心配していたのですが、それは危惧におわります。昔の子供同様、日が暮れるまで元気に走り回っているのです。また発達障害(私はこの言葉が嫌いですが)と言われる子供たちも、元気にほかの子供たちと一緒に遊ぶ姿をみて、そのお母さんもびっくりして喜んでいただけたこともありました。子供の楽しむ姿を見ることで、親も祖父母も幸せな気持ちになれるのです。

さらに子供たちに期待していることがあります。私の祖父は山奥で育ったせいもあり、山を歩きながら「この草は食べれる」と、見分けが出来るような人間でした。ですからおそらく山で遭難しても、そのまま生きていく力があったと思います。しかし、便利な生活に慣れた我々だと、一週間が限界かもしれません。それだけ人類は、生物としての環境適応能力が急激に落ちているということで、このままでは絶滅危惧種になるかもしれないと真剣に心配しています。そういった意味でも、子供たちが山で元気に遊びながら、心身ともに健康に、そして自然の中で生きる知恵も習得してくれたらなと考えています。

さわかみ投信の澤上会長から、運用はきちんとやれば簡単にできるけど、そのあと儲かったお金をどう活かすかが実は大事で、そのことの方がずっと難しいというお話を何度も聴かせていただきました。全くその通りだと思います。クローバーの標榜する「世界で一番お客様を幸せにするファンドでありたい」を実現するためにも、それぞれの方がその方に合った「かっこいいお金の活かし方」を達成していただけるよう、その先駆けとなれるかどうかわかりませんが、挑戦し続けたいと思っています

ということで、皆様も是非一度たねころ山にお越し下さいね。もっともらしい理屈をいろいろ書きましたが、この農園は、みんなの最高の笑顔が輝く場所です。次回は来春の予定です。お楽しみに。

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多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキホールディングス
代表取締役会長
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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