一人ひとりの金メダル

2020年01月15日

medaru2.png今年はいよいよ、東京オリンピックの年ですね。前回の1964年の大会は戦後復興の象徴となりましたが、今回は失われた30年からの再生への象徴としたいものです。

このオリンピックに関して面白い話がありました。友人のイタリア系スイス人の話では東京でトライアスロンの競技が東京湾で開催される事が話題になっているとか。どうしてなんでしょう。そもそも東京の様な世界的な大都市の海の水質が、競技ができる水準である事がありえないとのこと。それどころか最近は水質が良くなりすぎて、東京湾名物の海苔の収穫がめっきり減っているという問題があるくらいだそうです。

以前ですとスタジアムの収容人数を競う様な事があったかもしれませんが、どうやら、世界の「凄い!」の水準が、以前の様な「大きさ」や「速さ」といった量的、経済的なものから、「美しさ」や「正しさ」など質的なものに変化している様です。そういえば金融の世界でも、企業の環境への取り組みや社会への貢献、それに企業統治のあり方を投資判断の評価基準となるESG投資が、すっかりお馴染みになって来ました。

もう一つ、オリンピックで私が注目している事に、競技種目の増加があります。1964年の前大会では20競技、163種目だったのが、今回では33競技339種目へ、なんと倍以上に増加しています。さらに注目すべきはパラリンピックで、9競技144種目が22競技539種目へ。こちらは3倍以上となり、オリンピックの種目をも大幅に上回っています。「こんな競技もあるのか」とびっくりすることもあります。そんなに競技数が増えると、金メダルの価値が無くなってしまうのではという意見も聞こえてきそうですが、こんな風に考えては如何でしょう。

圧倒的にモノが不足していた時代から、大量生産大量消費を目指した近代社会の出現、さらに近年はグローバリゼーションやインターネットの普及によって我々は大抵のモノやサービスを安く入手する生活を得ることが出来ました。この大量生産大量消費時代は、皆が「同じ」の方が、また企業は規模が大きい方がより効率が良いわけですから、個人は「同じ」である事、企業はより大きくなることが良しとされ、個人や企業の個性や違いは評価されなかったどころか、邪魔なモノの様に思われていたと思います。大量生産大量消費時代が目的を達成して、大抵のモノやサービスが安価で幾らでも手に入る様になった今日、そういったかつての価値観が大きく変化しようとしています。

つまり「同じ」である事よりも、「違う」事の方が価値がある時代が訪れようとしています。より高い付加価値やより満足度の高いホンモノを創造するためには、異質な人間が楽しみながら共創していくことが不可欠です。競技も、同じ種目で他人と競うより、一人ひとりが金メダルを取れる自らの種目を見つける方が時代にあっているかもしれません。そういう意味では、競技数の増加は時代の趨勢なのでしょう。究極的にはこの地球上の77億人(国連の世界人口推計2019年版より)以上の人々が、自分が世界一になれる77億以上の種目をみつけるのが、これからの理想の姿だと思います。このオリンピック、パラリンピックを機会に、皆さん一人ひとりが金メダルを取れる種目を探してみる、あるいは一番になれる新しい種目を創造してみては如何でしょうか。クローバーも引き続き世界一「お客様を幸せにできる」ファンドを目指したいですね。

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキホールディングス
代表取締役会長
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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