コロナが導く 新しい世界2

2020年04月09日

easter.jpgコロナの猛威が止まりません。この原稿を書いている4月7日現在、世界の感染者が130万人を超え、死者が73,000人を上回っています。特にアメリカでの感染拡大は凄まじく36万人超が感染し、死者は一万人を超え、いつも強気のトランプ大統領もさすがに参っている感じです。今や世界中のテレビもネットもコロナ関連の情報でもちきりです。

日本の現状について批判を覚悟であえて申し上げるならば、コロナによる死者94人という数値は、いわゆる「風邪」による死のリスクとしては、今年のインフルエンザが直接的及び間接的な原因による死者約2,000名と合わせても、昨年の約10,000名を大きく下回っており、昨年よりかなり安全な環境と言えます。世界中がコロナの恐怖を、経済を停止してでも阻止しようと躍起になっている中、経済封鎖を極力避けた状態でこの数値を実現できていることは、政府の対応というよりも、明らかに個々の日本人の努力の賜物であり、世界に誇っていい内容といえるでしょう。今後、海外の様に危機的になるリスクはまだまだあるものの、今まで以上に各人が感染リスクには最大限配慮しつつ、普段利用しているお店やレストラン等を継続的に利用して経営や雇用を維持して、経済や社会を殺さないでこの難局を乗り越えることが出来れば、理想的な危機対応として世界中の模範となるでしょう。

ところで、我々長期投資家にとっては、目先のことだけでなく、コロナが収拾した後の世界をイメージすることも重要です。

今回は働き方の変化とその影響について考えてみたいと思います。

コロナの影響で首都圏ではめっきり通勤時間の乗降客が減りました。自宅でお仕事という人も随分と増えたのでしょう、都心の家電量販店ではテレワーク用のカメラやマイクが在庫切れの状態です。以前から話は持ち上がっても、なかなか本格化しなかったテレワークですが、これを機会に定着するかもしれません。考えてみれば、定刻に皆が一か所に集まり仕事を一斉に始めるのは、大量生産大量消費の工業化時代のなごりのような気がします。

ちなみに通勤、通学の平均時間が長いのが神奈川県で往復一時間40分、最短の宮崎県でも50分だそうです(総務省統計局)。ただ、通学を除けば感覚的にはもっと長いはずで、首都圏では片道一時間、往復で2時間くらいがあたり前の様な感じがします。毎日約300万人近い人が満員電車に揺られ「痛勤」していたわけで、この時間とエネルギーの無駄は凄まじいものです。日本の平均年収441万円をベースに時給を割り出すと2,120円ですから、人件費換算しただけでも毎日127億円、年間で約3兆3000億円にもなります。これに移動に使用する電力を加えると全国だととんでもない経済損失になっているのです。

むしろテレワークにより毎日二時間の余裕が出来ることで、暮らしはどう変わっていくでしょうか。家族で早めの夕べを囲み、そのあとはふらっと近所に出かけていくことも可能になるでしょう。趣味やスポーツや読書や、自分のやりたいことに若いころから時間を割けるのもプラスですね。「ベットタウン」は文字通り寝に帰る場所、休みの日は疲れて寝てばかりいる場所から、リラックスして心の豊かさを満喫する生活の拠点として、大きく概念を変えるでしょう。今まで意識しなかった近所のコミュニティも、新しい概念で生まれ変わり、新しいサービスがどんどん生まれるかもしれません。子育ても、共稼ぎ世帯では難しかったのが、家庭での仕事が中心になると、随分と楽になっていくでしょう。少子化問題も解決するかもしれません。

コロナがいつ収拾し、本来の経済活動が復帰するまでどれだけの時間がかかるかは不明ですが、確実に言えることは、単に元の時代に戻るのではなく、本来の変化が一気に加速され、パラダイムシフトした世界が出現することになると思います。そういう意味では長期投資家にとって好奇心と創造力を掻き立てる歴史的な瞬間にいるのかもしれません。緊急事態宣言で自宅にいる機会がこれから増えると思いますが、じっくりと未来に思いをはせ、新しい投資機会を発見する時間に変えていきたいですね。

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキホールディングス
代表取締役会長
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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