ポストデジタル時代を どう生きるか 

2021年02月09日

 昨年一月(一説にはそのはるか以前)に中国武漢で発生したコロナも、いよいよ二年目に突入してしまいました。当初は、SARSなどと比べると、遥かに毒性が低いので、これほどまで長く、また大きく世界を変えてしまうとは、正直私には想像できていませんでした。一方で、思いもよらぬ様々な要因が重なると、こんな事態になってしまうという恐ろしさを感じた一年でもありました。反対意見を述べると「非国民」扱いされたり、政府がより強い権限を持つことを望んだり、冷静な分析に基づかない感情的な報道が支持されたり、大きな戦争が起こるときも、今回の様に本来の平和を願う国民の思いとは別次元で、どんどん引き返せない事態に入り込んでしまうのだろう…集団心理の怖さを感じたような気がします。

いずれにしても、コロナの影響で、様々な変化が一気に加速したのは間違いないでしょう。この一年ですっかり変わってしまったものの一つとして、オンラインを活用した会議や教育があります。一般の会社でもZOOMのようなオンライン会議のアプリを活用するのが、当たり前になってきましたし、学校でもオンラインでの授業がすっかり定着してきました。特に教育分野でのオンライン事業の成長はすさまじく、2025年に3250億ドル(約33.5兆円)規模に達するとのデータもあります。この分野の企業は巨額の資金調達を実施し、マーケティングやエンジニアリングを拡大とともに、M&Aにより、対応できる教育分野を広げ、競争力を高めようとしのぎを削っています。

例えば、15万以上に及ぶ多彩なプログラムを提供するオンライン学習プラットフォームの「Udemy(ユーデミー)」は昨年11月に5000万ドルの資金調達を実施しており、サンフランシスコに本社を置く同社の評価額は32億5000万ドル(約3390億円)に達しています。無題.jpgただ、そのインパクトは経済的な面だけでなく、過去から永遠に続いてきた学校をベースとする教育そのものを大きく変える可能性を秘めているように思います。ちょっとUdemyのサイトを覗いてみてください。日本では、ベネッセが業務提携しているので、日本語での授業のコースも豊富に用意されています。独特の価格表示にはちょっと戸惑いますが、大体本一冊くらいの値段から、しっかりしたコースを受けることが出来ます。しかも、分野によりますが、世界中から多くの講師が授業を投稿しているだけあって、評価の高い授業のクオリティの高さ、わかりやすさには驚かされます。今まで当たり前のように高額の学費を払って、膨大な時間とエネルギーを費やし、大学や研修プログラムの授業を受け、それでもそれ程の効果を上げていなかった現状が覆されるでしょう。多くの教育機関が潰れ、教師も失業するかもしれません。

もうひとつ最近びっくりしたのに翻訳ソフトの進化があります。ずいぶん以前から存在はしていますが、時々意味不明な翻訳になったりして、「まだまだだな」と思っていました。しかし、「Deep L」(ディープエル)というソフトで翻訳すると、日本語から英語も、英語から日本語もびっくりするほど自然に、しかもある程度までは無料で翻訳してくれます。こうなると、そこそこの通訳や翻訳の仕事は無くなっていきそうですね。

以前から、AIやロボットによって、多くの仕事が失われるという話がありましたが、コロナで時代が加速し、いよいよ現実的になって来そうです。利用する立場では、すごく便利になって、しかも安くてうれしいのですが、働く立場では大変です。ではどうすればいいのでしょうか。かつて産業革命時に機械が導入される際も失業が増えるとの恐れから、「ラッダイト運動」という機械破壊運動が起こりました。しかし、その後どうなったでしょうか。結局機械の導入によって、生産性が上がり、人間が重労働や、単純労働から解放され、産業が発展し、皆、豊かになっていったという事実があります。今回のAIやロボットも、同じように人間から、面白くない、いやいややっている仕事を肩代わりし、生産性を上げてくれるでしょう。つまり面白い、創造的な仕事は人の手に残るということです。

そこで大事なのが、仕事を楽しむ工夫をすること。「お客様を本当に喜ばしたい!もっと工夫してより満足度を上げたい!」と24時間、365日、そのことを考えるの楽しくてしょうがないという人は、これからの時代を大いにプラスに出来そうです。一方、お金を得るために、いやいや仕事をやっている人はAIやロボットに駆逐されるでしょう。企業も、単なる売上や利益追求で四苦八苦している企業より、お客様の新しい喜びの為、嬉々として、創造力を駆使している企業が成長しそうですね。これからの時代、そんな良い企業をセレクトできれば、我々の長期投資の期待に大いに応えてくれそうです

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキホールディングス
代表取締役会長
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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