★次の時代に求められるもの

2022年05月12日

★次の時代に求められるもの

長期投資にとって一番大事なのは、次の時代の大きな変化とその流れを予測し、人々が何に困り何を求めるか、そしてその問題解決を実現できる企業はどこなのかを見極めること(クローバーの場合はそれが得意なファンドマネジャーを見つけ出すこと)だと思っています。さらにその企業が他の企業がマネできない経営資源(人材、設備や施設、ノウハウ等々)を持ち、圧倒的な参入障壁があれば、次世代の高成長企業となるでしょう。そういう意味では、長期投資(短期投資は別ですが)は面白いことに企業経営者と同じ視点が求められるのですね。

冷戦終結から現在までの変化

過去30年で見た場合、その変化の大きな潮流は中国とインターネットの成長だったと思います。冷戦終結により、資本主義と社会主義の二つを隔てていた壁が取り除かれ、中国は膨大な人口と極端に安い人件費を武器に世界市場に参入、そしてアメリカをはじめとする先進国はその中国を最大限に利用すべく、資金とノウハウをつぎ込んでいきました。これにより「世界の工場」の地位が、日本から中国に移管され、市場としても中国は世界第二位の市場に成長していきます。ユニクロやZARAなど、SPAと呼ばれる製造小売が急成長したのも、中国で安価で製造した粗利の大きいオリジナル商品を、先進国を中心にリーズナブルな価格で販売したという点で、中国成長のエネルギーを上手く活用した事例と言えます。

インターネットも、もともと軍事技術だったことを考えると、冷戦の終結がその普及を後押ししたのは間違いないでしょう。さらにパソコンからスマホへの端末の変化は「いつでも、だれでも、どこでも」ネットワークにつながる社会を実現することで、爆発的に需要が増大し、GAFAに代表される超巨大成長企業を出現させました。

次の時代の変化の潮流は?

では次の時代の大きな変化の潮流は何なのでしょうか。間違いなく最大の変化の潮流の一つは「高齢化」だと思っています。20世紀は人口爆発の時代で、1900年の16億5000万人から1999年には60億人にも達しました。人類史上例を見ない速度で人口が増加したとても若い人々の多い世紀だったといえます。21世紀はそれらの人々が高齢化し、人口の伸びも鈍化して行きます。つまり高齢者の世紀となりそうです。しばしば、日本の少子高齢化が問題視されますが、世界の高齢化の先頭に立つのが日本で、長寿先進国として、どこよりも早く長寿社会を体験かつ実験できるのは、なかなかのアドバンテージであると思っています。

次に大きな変化の潮流ですが、豊かさの基準がモノからココロへ移行するということだと思います。実はこの変化をもたらしたのが、中国を世界の工場と進化させたグローバリゼーションの流れだったといえます。人類は、産業革命により化石燃料を動力源にし、さらに標準化による規格大量生産を実現、そして極めつけが中国を製造拠点とする世界的な分業体制を整備することで、安く大量にモノを供給することが出来るようになりました。これにより、ほとんどの基本的な物質的な満足を我々はほぼ満たすことに成功しました。これは人類の永年の夢でもあり、画期的な成果といえるでしょう。その証として、先日ユニクロにおけるある変化を聞くことができました。ユニクロは商品管理においては世界トップレベルで、同じ商品でも、展示されている場所や入荷日によってきちんと単品管理が行われています。これにより、期間内に売り切るシステムを実現しているのです。しかし、以前は価格を安くすれば売り切れたモノが、最近は価格を安くしても売れなくなったいうのです。

モノからココロへ

つまり産業革命以前から続いてきたモノが欠如していた時代がようやく幕を閉じようとしているのです(ただし、食料を中心とするコモディティは不足の時代になります。このテーマはまたの機会に)。いよいよこれからは、ココロの満足を求める時代が来たということで、このことは社会に大きな変化をもたらすでしょうね。

そんな時代の変化を先取りしながら、長期投資をしていくのは楽しくないですか。かつての大潮流の一角である中国の変貌ぶりを見るにつけ、新たな成長企業を発掘するチャンス到来の時代なのかもしれません。

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキアセットマネジメント
代表取締役社長 運用統括責任者
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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