「ホンモノの運用の時代」

2023年01月13日

 

皆様あけましておめでとうございます。昨年も大きな変化の年でしたね。2月にロシアが大方の予想を裏切ってウクライナに進軍、コロナの影響でまだ回復途上にあったサプライチェーンの混乱で上昇していた世界の物価が、エネルギー、食料を中心にさらに急上昇することになりました。当初、このインフレがウイルス感染によるもので、感染が落ち着けば平常に戻ると楽観視していたアメリカの中央銀行(FRB)でしたが、このロシアの予想外の進軍により、タカ派路線に態度を硬化、急ピッチで金利を上昇させていきます。これにより、まだコロナの影響から抜け出せず、経済が疲弊している国々とアメリカとの金利差が拡大し、為替市場では大幅なドル高が進行し、それらの国々を極度のインフレが襲いました。

日本経済も、まずは生産者物価が急上昇しました。ただかなりの長期間デフレ下にあった日本経済でしたので、消費者物価への転換には抵抗があったのと、ガソリンなどは政府の補助もあり諸外国と比べれば比較的穏やかなインフレでした。それでも10月には40年ぶりに消費者物価の上昇率が3.6%となり、また「永遠の零」と揶揄され、

世界の金利のアンカー役を長年続けてきた日銀の超緩和政策の転換も始まりつつあります。

 

このような環境の変化から推測されることとして、

1.金利の上昇

アメリカでは既に住宅市場において既に顕著な変化が現れていますが、今まで低金利を享受してきた住宅や自動車ローンの金利が上昇し、経済に与える影響が心配されます。また、企業サイドも資金調達のコストが上昇し、金融緩和の終了により調達そのものも難しくなっていくでしょう。アメリカ企業を中心に多くの企業が行って来た低金利の資金での自社株買い、その後の株式消却による株価操作や、財務内容を犠牲にしながら行って来た積極的な高額でのM&Aも難しくなり、企業運営、企業評価も厳しくなるでしょう。

より長期的には、1981年から続いて来た40年を超える金利低下の超長期トレンドも終わり、金利上昇の時代に突入したと言えそうです。

2.増税

コロナ対策で大盤振る舞いした結果、各国の財政はかなり疲弊しており、また経済の低迷の中、税収の伸び悩みもあります。さらには世界的な緊張の激化で、防衛費の増大も求められる中、増税は避けられない状況になっています。

3.インフレ

冷戦後、「人、モノ、情報」がほぼ何の制約もなく行き来できたグローバリゼーションも、米中新冷戦や、ウクライナ問題を契機にすっかり様相が変わってきました。また、かつては30倍以上あった中国と先進

国との賃金格差もかなり縮まって来ています。今後は価格よりも、クオリティ、納期、安全性等が重視される時代になり、インフレが日常化しそうです。

4.賃金

一方賃金ですが、高収益を上げている大企業は賃上げが可能でしょうが、構造的な不景気の中、なかなか全体的な賃上げは難しいかもしれません。ただ、日本の場合、少子高齢化の影響で採用市場が逼迫しており、非正規雇用の条件は改善されていく気がします。

 

ということで、一言で申し上げるならば、投資環境としては安直な時代は終わり、とても厳しい時代に突入することになります。正確には異常な状態から、本来の姿に戻ると言った方が適切かもしれません。いずれにせよ、単純に相場の上昇に賭けるパッシブ運用では、投資成果を上げるのは難しい時代になりました。これからは本当に優秀で、長期の企業価値の上昇を期待できる企業を、宝探しのように夢中になって発掘する優秀なアクティブファンドの時代と言えると思います。クローバーもここ数年皆様のご期待に充分応えられず忸怩たる思いですが、いよいよ「ホンモノの運用の時代」ですので、これからは本領を発揮していきたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキホールディングス
代表取締役会長
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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