★「思考停止」を避けるには

2022年09月09日

 まずはいきなり三択クイズです。地球上の空気の中で二酸化炭素の占める割合は何パーセントでしょう?

①15% ②3% ③0.04%

正解は③の0.04%です。皆様いかがでしょうか、意外に思う人が多いのではないでしょうか。ちなみに主な構成は窒素が約78%、酸素が約21%で、その次がアルゴンで0.93%となんと二酸化炭素よりも多いのですね。

さらにびっくりなのが地球創生時代に二酸化炭素がどれくらいあったかということです。なんと95%もあったそうです。その二酸化炭素はいったいどこに消えたのでしょうか。実は地球上に生物が誕生以来、生物がどんどん二酸化炭素を体内に取り込み、炭素を使って細胞を組成する一方、酸素を放出してきました。わかりやすい例が光合成で、太陽光を利用して、二酸化炭素と水から炭水化物を生成、それを動物が食べて炭素を体内に取り込んでいったことになります。そしてその死骸は地中に蓄えてられ化石燃料となっていったそうです。

二酸化炭素濃度が、生物の体の組成に大きな影響がある事例として、恐竜が闊歩した時代、動植物が巨大化し、大いに栄えていたわけですが、その理由の一つが、今よりもかなり二酸化炭素濃度が高かったことがあるようです。実際、今から40年ほど前、フロリダにあるディズニーワールドのエプコットセンターのリッスン・トゥ・ザ・ランド『Listen to the Land』(現リビング・ウィズ・ザ・ランド)というアトラクションで、二酸化炭素濃度を高くした温室を見ましたが、野菜が巨大化しているのにびっくりしました。

このように生物が生きていくには二酸化炭素は不可欠なのです。こうして見てくると、人類史的には二酸化炭素の増加が危機に見えても、生物史的に見てみると、むしろ二酸化炭素が無くなりつつあったことが地球の危機のようにも思えてきます。このように世界の多くの人が脱炭素は当たり前で、それ以上考えようとしない「思考停止」に陥っているテーマも、実は見方によっては様々な評価が出来そうです。

ここまで書くと、「お前は脱炭素に反対なのか」と言われそうですが、そういう趣旨の話ではありません。今の世の中、脱炭素に限らず様々な分野で意見の対立が起こり、感情的なぶつかり合いがずいぶんと増えてきたように思います。以前にも書いたように、それを助長しているのが、現在のネット上での自分の好きな情報のみを推奨してくるリコメンドというシステムかもしれません。しかし、実際の世の中は、様々な要因が複雑に絡まっており、「正解」ももしかしたら立場や時間軸の長さで一つでないかもしれませんし、刻々と変わるものかもしれません。世の中で当たり前のように信じられていることも鵜吞みにせず、様々な角度から自ら検証していくことが必要だと思います。そもそも対立やそこで生じる議論は、互いに相手を論破してやっつける(欧米のディベートはそのような印象が強いように思います)のではなく、対立するA案とB案をぶつけて、新しいC案を創造する為のものだと思います。

さて金融の話に戻りましょう。金融市場はバーチャルな空間です。もっと正確に言うと、投資家たちの頭の中の世界です。投資家たちがどう評価するかで、実体の変化よりも極端に、刻々と企業の価値、一国の通貨の価値、資源の価値が大きく変わっていきます。時にはかつてのオランダのチューリップ相場のように実態よりも驚くほど過大に評価してしまいます。ここ数年も、世界各地で未上場のスタートアップ企業が莫大な資金調達に成功し、多くのユニコーン企業(評価額が10億円を超える、設立10年以内の未上場企業)が生まれました。投資家から見れば、まさに「一角千金」の夢ということでしょうね。

思考停止にならない方法として、①出来るだけ多くの意見(特に反対意見)を聞くこと、②一つの正解を追わず、出来るだけ大きな幅をもって物事を捉えること、③そして、出来るだけ大きくて(空間軸)、長い(時間軸)モノサシで判断すること・・・が必要なのかしれません。

なかなか難しい相場環境ですが、こういう時ほど、③の大きくて、長いモノサシで判断したいですね。

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキアセットマネジメント
代表取締役社長 運用統括責任者
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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