日本人があえて主語を使わない訳

2020年11月11日

pankun.jpgこの度の「らくちんファンド」と「かいたくファンド」を「コドモファンド」に併合する案につきましては、多くのご賛成をいただきありがとうございました。これでクローバーでは「コドモファンド」と「浪花おふくろファンド」の親子?二本に絞ることが出来、益々集中してしっかり運用していきたいと思っています。

そこでこの機会に各ファンドの特徴を改めてご紹介したいと思います。まず「コドモファンド」は、臨機応変に市場環境に適応すべく、ベストと思われるアロケーションを追求して機敏に運用してまいります。さらに、より優れた新しいファンドもどんどん投入していくことで、常に旬の状態をキープしたいと思っています。その名の通り、元気に動きまわっているイメージでしょうか。

一方、「浪花おふくろファンド」は、お母さんらしくどっしりと、実績のあるファンドをセレクトし、滅多にアロケーションの変更を行いません。また、国別の比率も、例えば日本株の比率も、現在の30パーセントから20パーセントへと、実際の国別のGDP比率により近づけていきたいと思っています。

別の言い方をすれば、「コドモ」は「市場は予想できる」ので、その時々の市場に一番ぴったり合った投資をしようとするファンド、「おふくろ」は「市場は予想できない」ので、一番信用のできるファンドに、バランスよく投資しておこうとするファンドと言えます。さて、どちらが良い結果をだしてくれるでしょうか。これからの運用を楽しみにしてください。

ところで私たちが普段口にしている日本語ですが、主語を使わずにおしゃべりする機会も多いと思います。外国の言語と比べると、すごく曖昧で、いい加減で、日本の「良くない」ところだと思われることも多いのではないでしょうか。本当にそうでしょうか?

例えば、あなたが一生懸命田んぼの世話をしてお米を収穫したとします。一般的には「私がこのお米をつくりました。」と表現しても良いような気もしますが、実はこの表現は正確ではありません。まず、あなたが収穫を得た田んぼは先祖代々の人々が大変な思いをし、開拓し、守ってきた田んぼです。そこに水を引くにも様々な人の助けが必要だったでしょう。収穫したお米の品種改良をしてくれた人、肥料を作ってくれた人、農機具や機械を作ってくれた人、販売してくれた人などなど、多くの人々の助けが不可欠です。それに忘れていけないのが天の恵み。太陽や雨など、自然の力なくしては収穫は得られません。

お米作りに限らず、どんなことでも、どんな人でも、とても自分一人の力では成し遂げられません。日本人があえて主語を使わない、いやそもそも日本語には「主語」という概念が無かったとも言われているのは、このように多くの人々や自然への感謝の気持ちを絶妙に表現しているからだということを知っていただきたいと思います。

近頃は、米中冷戦の激化、コロナへの過剰な反応、それに個人情報保護やコンプラの徹底の理由から、人々の結びつきが分断され、対立、孤立が顕著な世の中になってきたような気がします。何かそこに異常さ、危機意識を感じている方も多いのではないでしょうか。こんな時代こそ、多くの人々の助けや、天の恵みで我々が日々生かされているという、日本人的な感謝の気持ちを大事にし、世界に広げていければと思っています。我々が投資する企業も同じです。多くのお客様、社員、それらのご家族、協力会社、地域の人々等々、様々な感謝とともに成長していける企業こそが、長期投資に値する企業だと思っています。

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキホールディングス
代表取締役会長
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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