「確かなもの」への投資

2021年12月09日

たねころ山の冬支度.jpg10月の月次レポートで、マスコミやネットを含め様々な情報が溢れ、何が本当の情報化わからない世の中で、正しい情報を見出す一つのヒントとしてFollow the money(お金の後を追いかけろ)というお話をさせていただきました。表面的に言っている美辞麗句ではなく、実際のお金の動きの中にこそ真実があるというものでした。

この真実を見出すことも重要ですが、様々な情報や知識を正確に判断するためには、その判断の土台となるものが必要になります。それが絶対的に「確かなもの」だと思っています。投資においても、長期に確実にしっかりとした投資を成功させるには、この確かなものを基準にすることが不可欠です。では本当に確かなものとは何でしょうか。

世の中には様々な情報が溢れていますが、本当に確かなものと断言できるものはというとそうあるものではありません。一見本当のように見えても、多くが検証してないか、検証出来ない一つの仮説にすぎない場合がほとんどでしょう。またいつでも、誰でも、何処でも適応できる普遍的なものはかなり限られると思います。

そんな中で、私が「確かなもの」と考え、物事の判断の土台にしているものが三つあります。まず思いつくそのうちの二つが「生まれて来たこと」と「いつかは必ず死ぬこと」です。これは古今東西、すべての生物(場合によっては、天体や、様々な物質も)において普遍的に言えることだと思っています。どんな金持ちであれ、どんな有名人であれ、生まれ、いつかは死んでいく。ただここで忘れていけないことは、自分が生まれるまでに、気の遠くなるような時間が存在したことも事実であるということです。宇宙が誕生し、地球が生まれ、そして生物が誕生しました。生物が誕生したころから勘定しても38億年も経過していますが、我々の先祖は生存が困難な様々な環境を乗り越え、有性生殖になってからは様々な出会いを繰り返しながら、命を継承し自分がこの世に誕生しました。また、当たり前ですが、自分が死んだ後もこの世の中が継続していくことも確かです。自分はいつかこの世からいなくなりますが、その後も(たとえ地球が消滅したとしても)この世が全く無くなることはありません。つまり「生まれたこと」と「死ぬこと」はその前と後ろの時間を含めて確かだということです。企業の哲学においても、このようなしっかりとした土台に基づいた考え方が必要な時代になってきており、そうでないと長期の繁栄は難しいと思います。

さらに、この「生まれたこと」と「死ぬこと」と同じくらい確かなことがあります。それは何かというと「変化していく」ことです。宇宙に存在する全の物質や生物においてそのままの姿をとどめることは無く、時間とともにあらゆるものが刻々と変化して行っています。これもまた真理でしょう。

経済が沈滞していた平成の三十年間ですら、凄まじい勢いで時代が変化し、人々の価値観も変化していきました。この変化は、川の流れに例えられるかもしれません。川でも様々な支流は川筋が変わったり、水が枯れたりするけれど、大河の川筋はそう頻繁に代わるものではありません。しかも凄まじいエネルギーが充満しています。いかなる大企業もこの流れに逆らえばひとたまりもありません。例えば、コダックという世界的な超優良企業もフィルムにこだわった為、あっという間に消えていきました。有名な話ですが、デジタルカメラを開発したのはコダックの技術者スティーブ・サッソンでしたが、経営陣が「こんなものが普及したらフィルムが売れなくなる」といってボツにしてしまったとのこと。

逆にこの流れにうまく乗り、変化のエネルギーを活用できれば、わずかな努力で企業は急成長していくことができます。かつてテレビ東京の番組「快進撃カンパニー(1986-1991年)」でメインキャスターを務めた日経の池田正義編集委員(当時)は、「どんなに社長や社員が優秀でも、快進撃カンパニーにはなれないが、時代の変化の流れに乗った企業は優秀な人間がいなくてもなれる」とおっしゃっていました。企業経営者にとって、時代の大きな変化を察知し、その流れのエネルギーをどう企業に取り込むかが最も重要な役割だという事でしょう。

長期投資においても、相場の動向以上に大事なのが、この時代を追い風に出来ている企業をいかに発掘するかです。

いよいよ2021年もあとわずかになってきました。今年も我々を信頼、応援下さりまことにありがとうございました。来年もさらに良いファンドマネージャーを世界中から選び出し、快進撃”ファンド”を発掘していきたいと思います。

それでは皆様素敵な新年をお迎えください。

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキホールディングス
代表取締役会長
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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