起るか、人口の逆流現象

2025年04月09日

物価の高騰と首都圏での様々な生活リスク

日本では1955年以降、人口の首都圏への集中が進み、全人口に対する首都圏の人口比率が約17%だったのが、現在は29%を超えてきました。それでは果たして今後もこの流れが続くのでしょうか。

確かに今日まで首都圏に投資が集中したことで、それによる雇用の創造、賃金のアップや大学をはじめとする教育機関の充実、様々な文化やファッション、エンターテイメントなどが発展し、若者を引き付けるコンテンツが豊かだったのも事実でしょう。

しかし、今後を考えると首都圏では様々な問題が浮上しています。近年の建設費の暴騰もそうですが、それによる賃貸住宅の需要の押し上げもあり、家賃も大幅に高騰してきています。特に東京23区のファミリー向け物件では、この一年間で月額3.2万円の上昇がみられ、シングル向けでも平均家賃が10万円を超えてきました。食糧費や光熱費の高騰もあり、極めて生活が苦しくなってきているのです。

また、首都圏は団塊の世代が集中しており、彼らも75歳を超えてきたことから、若者が多いイメージのあった首都圏も、今後は高齢者の多いエリアとなっていくでしょう。そのため、医療や介護、さらに葬祭場や火葬場の不足もかなり深刻で、一週間近く待たされることもあるようです。そして、今後想定される地震や富士山噴火などの天災も、人口集中エリアではその後の被害や混乱が大きいことが予想され、そういった意味でも、首都圏での生活のリスクは高まっているといえます。その影響か、まだ家賃や食料の高騰が顕著でなかった2022年に内閣府が行った調査でも、「地方移住に関心がある」と回答した人の割合は34.2%と増加傾向にあり、特に20代では45.2%と高く、地方移住への関心が高まって来ていることがうかがえます。

 

自給率が低下し、食料の調達が困難な時代へ

さらに、これから我々が住む場所を考えるにあたり、特に意識しないといけない問題があります。それは食料です。もともと食料自給率の低い日本ですが、農業従事者の年齢がかなり高齢化しており、今後さらに自給率が下がっていく可能性があります。

一方、世界に目を向けると、実は1970年代から将来の食糧危機を危ぶむ声はありました。しかし、実際には農業生産の機械化や、近代化による生産性の向上、温暖化の影響もあって、農産物の生産量は人口の増加を上回り、逆に価格は低迷してきました。しかしながら、今後は水資源や肥料の確保が困難になることや、関税のアップや円安、国家間の紛争、自国民重視の傾向などから、従来はお金を出せば海外から簡単に食料を調達できる時代が続いてきましたが、これからはそれがより困難になる可能性が出てきました。しかも、国内での生産量も激減する可能性が高いので、食料の調達がとても重要な時代になるかもしれません。

 

変化したライフスタイルから考える地方移住

このように考えると、農業従事者が不足し、食料価格の上昇で収益性の改善がみられ、さらに空き家も増加傾向にある自然豊かな地方は、魅力的な移住先と言えそうです。特に子供たちが元気に育つには理想的な環境ですね。従来は不便だった買い物も、今やネットで注文すれば日本全国どこでも配達してもらえますし、情報もネットを通じていくらでも収集可能です。また、今や常識になったテレワークやネットでの会議は、地方にいても首都圏時代の仕事を引き続きできる環境を提供してくれています。

 

後は移住にあたっての問題として、教育や医療についてインフラの問題があります。このため、新しい手法で、過疎地においても質の高いサービスが受けられる機会を提供する事業にこれから期待が高まるでしょう。また、そういった企業への投資も、地方移住促進をサポートする事業としてこれから注目していきたいと思います。

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキホールディングス
代表取締役会長
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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