「ふつうの人が学ぶに値することを 学べる場」

2021年09月09日

前回、このコーナーに出させていただいてからまる六年になります。2016年3月に51歳で学校教員を早期退職して、楽知ん研究所の仕事に注力しています。早期退職したのには、母が亡くなり、東京の実家で一人暮らしをしている父の見守りもしたいと思ったこともあります。そんな決断がすぐにできたのも、2001年から続けていた長期投資による資産形成のおかげです。退職金で「らくちんファンド」を購入したのを最後に、ファンドの追加購入はせず必要な分を解約して生活していますが、資産は減るどころか年々増えていっています。楽知ん研究所の仕事では、ほとんど利益を生んでいないのですが、普通に暮らしていれば将来にわたって心配はありません。

そんな中、昨年2月に、旭川市の隣町、東川町で「実験講座を開くことができる広さのリビングのある築40年の中古住宅」に出会いました。現金一括購入もできましたが、20年ローンを組み、コドモファンドには手をつけませんでした。住宅ローンの金利は1%にも満たないのですから、長期投資で運用した方が「お金にとっても〈働きがい〉」がありますからね。

ちょうど新型コロナ・ウイルスの感染拡大が始まった時期で、実験講座はしばらくできなくなりました。そこで、じっくり時間をかけて引越し作業をすることができました。大量の本やおもちゃ、パズルや手品のコレクションなど、今までは箱にしまってあったものが大半でしたが、新居では広い地下室もあって、すぐに手に取ることができるようになりました。

建物の魅力ももちろんですが、環境も移住の決め手となりました。東川町は人口8,400人ほどの、鉄道・国道・水道の「三道」のない小さな町です。自宅は田んぼに囲まれ、大雪山連邦が一望できる気持ちのいいロケーション。蛇口をひねれば、旭岳の伏流水が飲み放題。六〇〇坪の敷地では、畑や庭づくりもたのしんでいます。それでいて、旭川空港や旭山動物園まで車で10分で行ける好立地なのです。

そんな新居を、科学の最も大切な原理・原子論を提唱した古代ギリシャのデモクリトスにちなんで「デモじぃハウス」と名付けました。「ふつうの人が学ぶに値することを学べる場」の一つとなるよう、豊かな自然の中でじっくり活動をつづけているところです。

執筆者:NPO法人楽知ん研究所 理事 小出雅之

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