働いていれば将来が保証される時代はもうない?
かつての日本では、「真面目に働いていれば、いずれ何とかなる」という価値観が社会を支えてきました。高度成長期の日本は、勤勉さと安定した雇用を前提に、努力が報われる仕組みを確かに持っていたのです。
しかし今、株価の乱高下、円安、金利の変動、雇用の不透明化など、私たちを取り巻く環境は大きく揺れ動いています。
働くだけで将来が守られる時代は、静かに幕を下ろしつつあります。
タルムードが示す「富とは預かりもの」という思想
こうした時代にこそ、改めて注目したいのがユダヤ教の知恵を集大成した「タルムード」です。タルムードは、旧約聖書の解説書ではなく、「どう生きるか」「どう働き、どう富と向き合うか」を何千年にもわたって議論し続けてきた実践の書です。
タルムードにおいて、富は人生の目的ではありません。
富とは神から一時的に託された「預かりもの」であり、社会に循環させる責任とともに与えられるものとされます。独占や死蔵は否定され、雇用を生み、教育を支え、困っている人を助ける使い方こそが正義とされるのです。
また、「財産の1/3を土地に、1/3を商いに、1/3を手元資金に」という教えは、現代の分散投資の原則そのものです。
タルムードは、投資を投機ではなく“人生を守る仕組み”として位置づけています。
日本的価値観と重ねて見える、新しい資産形成のかたち
一方、日本では長らく「働くこと」そのものが最大の資産とされてきました。
投資はギャンブル視され、お金の話は慎まれる。しかしその美しい価値観は、いつか働けなくなる日の備えを後回しにするという影の側面も抱えています。
ここで重要なのは、タルムード的価値観と日本的価値観を対立させないことです。むしろ両者は本来、とても相性が良い。日本人が大切にしてきた勤勉さ、責任感、人の役に立つ喜びに、タルムードの「分散」「循環」「備える」という思想を重ね合わせることで、「日本人的タルムード流資産形成」が生まれます。
それは、欲望のための投資ではありません。
働くことを大切にしながら、同時に“働けなくなる日”のためにも誠実に備える。
富を誇示するためではなく、家族と次世代と社会を守るために育てる。
そんな成熟した資産形成のかたちです。
このシリーズでは、タルムードの教えを手がかりに、日本人だからこそ実現できる新しい資産形成の姿を、毎回一つずつ掘り下げていきます。
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