2025年 年末にかけての相場見通し(2025.10.6)

2025年10月06日

年末の目標数値を年初に設定した目標値へ戻します。

・S&P500(米国): 6,900p 年末比+17%(←4月の変更後は5,900 p)

・日経平均(日本): 45,000円 年末比+13%(←同 41,000円)

※但し、両指数共、年間で高値から▲10~15%の下落局面を想定。(←既に実現済)

 

上記の通り、年末の目標値を年初に掲げた目標値へ戻すことにしました。

今年4月のあいのりマンスリーにおいて、トランプ関税の発表により露呈した米国の諸問題(財政赤字と債務問題、防衛力問題、国内格差問題)から、一時的な物価高騰、企業業績の悪化と雇用の低下、消費者センチメントの悪化が要因で、

関税の変化がなければ、景気後退し、株価は一時的に反発するものの、10月頃までは軟調かレンジで推移する

と考えました。

しかしその前提が崩れたことが、年初の目標値へ戻すことになった大きな理由です。

 

 

関税発表の一週間後には、90日猶予が発表されました。

これをきっかけに、年初から▲20%前後まで下落した株価は回復し、数か月後には史上最高値を更新するまで戻しました。

9月末時点では、年初来でS&P500+14%、日経平均+15%で推移しています。

残りの3か月ですが、例年10月は下旬に投資信託の決算があることなどが要因で下落することが多い月です。

しかし、以下の理由により、年末にかけて調整はあっても値幅・時間共に大きくはならないのではと考えます。

 

2025年残り3か月、値幅・時間が大きくはならないと考える理由

① 流動性と買い意欲

M2など市場流動性は史上最高水準にあり、金融市場は健全で緩和的であること。

待機資金とみなされるMMFの残高が史上最高の7.7兆ドルまで潤沢に積みあがっていることや、今年は4月以降一方向の上昇相場となっているものの、乗り切れていないファンドが多く、年末にかけて下がったら買いを待っている参加者が多く存在すると思われること。

 

② 労働市場は弱いが経済は安定的

現在の労働市場は、生成AIによる生産性向上など構造的な変化となっている可能性がありますが、ここ数か月の米雇用市場は明らかに弱くなっています。但し、失業率は未だ4.3%と歴史的に低い水準にあり、年末までは持ちこたえる可能性があること。

 

③ FRBの政策金利引き下げ期待

今般、株価は史上最高値水準で経済も大きな悪化要因が見られないにも関わらず、政策金利の引き下げに踏み切ったこと。またマーケットは更に引き下げ期待があること。

 

短期(3ヶ月)は、上記の通り、多少の調整はあっても最終的には上昇を見ているものの、以下の事象などが顕在化した場合、調整も大きくなると考えます。

 

調整も大きくなる場合はどんな時?

・失業率の急激な悪化

雇用が急激に悪化(既に黒人、若年層の失業率は上昇の傾向が見られます)し、景気後退懸念の浮上と同様、FRBが大幅な利下げを強いられる状況にある場合。

・米国債務

既に各国の30年債の利回りは下げ渋っていますが、債務問題に焦点があたり、長期金利の上昇と通貨の切り下げが起きるなど、市場が急激に混乱する場合。

・インフレ再燃

一時的とみていますが、インフレが再度上昇し始め、政策金利の再考が余儀なくされる場合。

 

日本株について

日本株については、高市自民党総裁が誕生したことにより強気スタンスですが、上昇一服後は、冷静さを取り戻し、年末にかけては45,000円辺りになるのではと考えます。

一方、日米金利差の縮小などから、中期的には円高をメインシナリオとしており、年末までに円高へ転換した場合は調整局面を迎えると考えます。

 

 

現時点で個人的に考えていることを述べましたが、状況が変わり次第見通しは変えていく予定です。

宇野隆一郎
執筆者
宇野隆一郎
株式会社パリミキアセットマネジメント
ファンドマネージャー
1988年に富士銀行(現みずほ銀行)に入行し、主に国際部門を中心に国内及び証券部門にて従事。1998年には当時のスイス富士銀行(スイス・チューリッヒ)に駐在し、プライベートバンキングや運用の奥深さを体現し、以来マーケットの魅力に取りつかれました。2004年にドイツ銀行のプライベートバンキング部門に転職。その後独立し、ファミリーオフィスの運用を担当。1か月の内、約半分近くを海外に出張し、年間約100以上の世界中のファンドマネージャーとミーティングを行っていました。その時に、多根さんと出会いました。2009年にシンガポールに拠点を移し、ファンドに限らずあらゆる金融商品の運用を行い、2017年に帰国後も個人投資家として相場・トレードの研究に勤しんでまいりました。相場で大切なことは大局観であり、ファンダメンタル同様、時間と価格の分析も行いながら大局観を把握し、それに見合った旬なファンドを常にアップデートしていきたいと考えております。

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