年末の目標数値を以下の通り変更します。(2025年1月号掲載)
・S&P500(米国): 5,900p 年末比+0%(←年初は6,900 p 年末比+17%)
・日経平均(日本): 41,000円 年末比+3%(←同 45,000円 年末比+13%)
※但し、両指数共、年間で高値から▲10~15%の下落局面を想定。(不変)
トランプ大統領の関税政策の導入がどの程度施行されるかで状況は大きく変化すると思われますが、今ある米国の課題から今後の見通しを自分なりに考えてみました。
1.関税をかけなければいけない理由
根底には次の米国の課題(財政・債務問題、防衛力強化、米国民の格差)を解消したいという強い思惑があると思います。
① 財政・貿易赤字と債務問題
毎年6%の財政赤字。毎年平均約5%で拡大する連邦債務残高(現状GDP比約120%)。既に税収の約2割が支払い利息に充てられ、これ以上債務の増加は持続不可能。
更に2025年はその全債務の約1/4に当たる9兆ドルの米国債の満期が到来することから借り換え条件を優位にするため金利を低くする必要がある。
② 防衛力問題(中国の脅威)
製造業が弱く、先端材料は他国、特にレアアースなどは中国に依存している状況がある(グリーンランド領土化の言及はレアアース不足解消と地理的な優位性確保)。
③ 国内の格差問題
上位1割程度の米国民が株式市場の約9割を保有する一方、国民の約半数が借金を抱えている資産人口構成になっている。
今回関税を導入することにより、
①は、政府への関税収入が増えることにより、債務返済、減税に充当を想定。同時に起きうる株価下落、経済悪化は長期金利の低下が見込まれ、大量の米国債の借り換え需要に対し低金利で可能となること。
②は、米国内へ製造業の回帰するインセンティブが高まり、造船能力の向上など自国で防衛できる環境に近づくことが出来ること。
③は、経済に占める製造業の割合が増えることにより、低所得者の雇用増加。また低所得層は今後期待される減税の効果を享受できること。
2.トランプ関税の問題・矛盾点
トランプ関税の問題点は、米国内の問題だけに絞る場合、以下がまずは想定されます。
① 米国内に現状低価格帯の製造が少なく、アジア諸国からの輸入品の価格が急騰すること、消費者が高額の負担を強いられること。
→インフレにより消費意欲が減退し、経済が急速に冷え込むこと。
② 製造工場をつくるにしても時間がかかること。
③ 移民を排斥している中、製造業の人員確保問題、人件費(高コスト)の問題。
以上の問題を解消すべく各国と交渉をすることを前提にしているとしても、そもそも提示された関税率の根拠が杜撰である(単純に貿易赤字額を輸入額で割った税率など理論的な根拠になっていない)ことから着地点が難しい。(今後の各国との交渉次第。)
3.今後の相場展開
10月頃までは軟調、それ以降は上昇。何れかの時点でドル安。
これらから想定している展開としては、トランプ関税に殆ど変更なく実施された場合、一時的な物価高騰あるいは企業収益悪化に伴う雇用低下、消費者センチメント悪化により、景気後退の可能性は高くなったと思われます。またS&P500の2022年から続いてきたトレンドが3月で一旦終了したことを考えても今年10月頃までは軟調、あるいはレンジになるのではと考えております。FRBには政策金利を下げる余地が十分あること、減税や規制緩和などのプラス面が今後期待されることなどを考えると、今年10月頃からは上昇するのではと考えています。
また関税効果も薄れ、債務負担も増え、製造業の強化に繋がらない為、いずれかの時点でドル安政策を打ち出してくる可能性はあると考えています。
その場合、米国の機関投資家などから割安な日本株も含め、欧州・新興国株などへの資金の移動が見られる可能性があり、日本株は米国株に対しては若干アウトパフォームすると考えています。
現時点で個人的に考えていることを述べましたが、状況が変わり次第見通しは変えていく予定です。
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