「非日常から見えてきた世界秩序」

2022年12月09日

あっという間に師走となり、今年もあとわずかとなりました。ロシアのウクライナ侵攻、さらには円安、そしてすっかり定着したインフレと、想定外の環境が日常化した一年だったと思います。また、既に3年目に入り、落ち着いたと思っていたコロナも、中国ではゼロコロナ政策でかえって長引き、それでも強引に政策を維持しようとする姿に、今後の危うさが感じられます。このように目先の変化があまりにも大きいので、そこに目が奪われがちですが、非日常が続いてきたからこそ見えて来た、大きな世界秩序のようなものについてお話ししたいと思います。

例えば、世界の構図はすっかり巨大資本家達に有利な社会になっています。いまさらながら気づいたのは、世界でも最も影響力のあるアメリカの大統領の選挙が、あれほど長期で行われるのも、じっくり人選するというよりは、わざと資金が必要な仕組みにしているとしているとしか思えないくらいです。膨大な資金力が無いと大統領になれず、誰がなっても(自分で資金を用立て出来るトランプのような人間は例外として)、結局スポンサーの言いなりにならざるを得ないのがアメリカの選挙でしょう。

EUに至っては、選挙で選ばれた各国の代表よりも、誰が選んだかもわからないEUの官僚が全てを牛耳っていますし、日本の政治家も、アメリカの巨大資本か、はたまた中国のどちらかになびくかを迫られ、それに抵抗して自国の利益を守ろうとする者はマスコミを使って集中攻撃を受けるという、信じられない状況下にあるのではと思います。

企業も、いつの間にか「株主のもの」というのがグローバルスタンダード化しています。永年ご愛顧してくださっているお客様や、愛社精神を持ち一生かけて頑張ってくれている社員、協力してくださっている取引先よりも、明日株式を売るかもしれない株主であったとしても、大口の株主、つまりより大きなお金を持つものほど影響力を持つような仕組みになっているのです。

我々の生活も、自分たちで食料を自給出来ていた時代とは違い、今では生活のほぼ全てをお金で購入しなければ生きていけない時代となり、すっかりお金の影響力が強まっています。

そんな影響力を増しているお金の最大の出どころが、アメリカの主要な産業である「軍需」「医療」「エネルギー」「食品」であることを考えてみると、今世界で起こっていることや、世界のマスコミを使って唯一の真実のように一方的な報道がされていることも、「なるほど」とクリアに見えてきます。あるいはこれから起こるであろうことも予想できるかもしれません。

例えば、ウクライナの問題を考えてみましょう。今にして思えば、アメリカがロシアの進軍を止めようとしなかったのも、アメリカの軍需産業の立場から見ると当然だったわけですね。そして、今後についても、長期化したほうが彼らの業績に好都合で、さらには彼らに盾突くプーチンやロシアを消耗させることが出来るのだと考えると、短期での解決は望み薄のように思われます。そう考えると、世界経済がはっきりとした下降局面に突入しても、インフレの長期化は避けられないので、スタグフレーションに陥る…残念ですが、そんなシナリオが現実になりそうです。

悔しいけれど、この秩序を変える力は今の我々にはないですが、ではどうすればいいでしょうか。マスメディアは出来るだけ見ない。愚民政策(支配階層が人民の目を政治から逸らす政策。終戦後は3Sのスポーツ、スクリーン、セックス。今はスポーツ、テレビやスマホを通じた娯楽でしょうか)にはあえて近寄らない。お金のかからない自立した生活を心掛ける。あるいは、彼らの思考を読みながら、賢く自らのお金に働いてもらう等々。色々考えられると思いますが皆さんはどうでしょうか。まずは彼らの思い通りにならないためにも、「お金から自由になる」ための長期投資に、これからも励みたいものです。

それでは、今年もご愛顧ありがとうございました。皆様、益々素敵な年をお迎えください。

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキホールディングス
代表取締役会長
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

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