次の金融危機はいつ来るか

2017年09月12日

最近金融のプロの間でも、にわかに相場について弱気な意見が多くなっている気がします。確かに北朝鮮問題もありますが、大方の弱気の根拠は、最近顕著になりつつあるバブルの兆候でしょう。

例えば、アルゼンチンが100年債を起債しましたが、約27億ドルの発行に対して、三倍以上の入札がありました。確かに8・250%という表面利率は魅力的ではありますが(応札が殺到したため最終的に7・125%まで下落)、過去6回も債務不履行を経験し、前回の係争が決着してまだ一年半、格付けも最下位から二段目のB、しかも100年の長期債ということを考えると、リスクに対してかなり寛容になっている状況がうかがえます。

一方で、リーマンショックからまだ9年と、殆どの現役の金融プレーヤーが未曾有の金融危機を経験していることもあり、バブルの兆候には敏感な投資家も多く、投資家が極端な下げを予想すると高くなるというスキュー指数(別名「ブラック・スワン指数」)は高止まりしたままです。

次の金融危機はいつ来るか?これを予測するのはなかなか難しいのですが、我々が根拠にしている基準が2つあります。一つは、いつもお話しているとおり、コンセンサス(皆がそうだと思うこと)に注目しています。つまり、一般の人まで株の話をし始めたり、相場予想も強気一辺倒になったりと、皆が相場の高騰を信じるようになった時は要注意です。もう一つ最も重要な基準があります。それがアメリカの長期金利です。

よく相場の下落ということで一緒にしがちですが、単なる調整とか20%程度の下落は、金融システムそのものへのダメージも少ないですし、実体経済にも大した影響を与えません。また、比較的短期で回復することが多いようですから、底値で安く買うチャンスにもなります。しかし、リーマンショック級になると、そうはいきません。金融システムが機能不全になり、信用創造が劇的に収縮。その為、実体経済にも長期で大きな悪影響を与えるようになります。これが「金融危機」のレベルです。我々は、この違いを見極めるのに、アメリカの長期金利が活用できるのではないかと思っています。

使用する数字はふたつ。現在のアメリカの10年債の金利と、その10年間の移動平均です。現在の金利が移動平均を上回った時は要注意です。ちょっと難しいかもしれませんが、理由はシンプルです。現在の金利が移動平均を上回った時点で、ほとんどの債券が含み損を抱える事になるのです。その為、多くの投資家のリスク許容量が激減し、一羽の「ブラック・スワン」の出現に皆が怯え逃避することになります。実際、ITバブル崩壊とリーマンショックはこれが当てはまったケースです。

もっとも、何とか避けたい金融危機ですが、長期で見た場合は何も恐れることはありません。例えば、我々の「浪花おふくろファンド」は2008年の4月にスタート。その直後のリーマンショックで基準価格が40%も下落しましたが、今日までの複利年率は7・23%。10年で倍のペースとゴキゲンな結果になっています。さらに、積立を継続した方々は長く続いた底値でたっぷりと買い付けが出来ていますから、驚くような成果が上がっています。金融危機対策に、積立投資は圧倒的に有効なのです。

クローバーは、金融危機を回避する努力はもちろんのこと、常に旬のファンドに入れ替えることにより、長期で最高のパフォーマンスを目指してまいります。これに皆様の積立投資、さらにスポット買いも加われば、恐れるものはありませんね。

2017年9月 月次レポートより

執筆者:多根幹雄

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