BRICS時代のニッポン

2025年02月13日

BRICSがG7を超えた

今年1月、トランプ大統領が再任し、世界に大きな変化をもたらそうとしています。しかし、近年既に大きな変化が起こっています。それは、BRICSの経済力がG7を上回ったことです。厳密にいえば、名目GDP(市場為替レートベース)ではG7の合計がまだBRICSを上回っていますが、購買力平価(PPP)ベースのGDPでは、BRICSの合計がG7を上回っています。2024年のデータによると、BRICSの世界GDPに占める割合は約35%、G7は約30%です※。

歴史的に見れば、人口の多いインドや中国を擁するBRICS諸国は、長い間圧倒的な経済力を誇っていました。しかし、18世紀後半の産業革命を経て、おそらく19世紀中頃から欧米諸国が世界経済をリードするようになりました。それが約2世紀ぶりに逆転し始めているのです。さらに、「グローバルサウス」と呼ばれる国々も急成長しており、これまでの白人中心の世界から、多様な人種を含む新しい世界秩序が生まれようとしています。

 

BRICSの台頭による変化

BRICSの台頭は、政治・経済においてさまざまな大きな変化をもたらすと考えられます。これまでの国際経済はG7が主導し、ルールを策定してきましたが、今後は、国際金融機関(IMF・世界銀行)や貿易協定の枠組みが再構築される可能性があります。また、ドル基軸に対して「非ドル経済圏」の拡大も進むでしょう。実際、その兆候は最近の金や仮想通貨の価格高騰にも表れています。言語でも英語だけでなく、様々な言語の活用も進むでしょう。特に昨今の翻訳や通訳ツールの目覚ましい進化はこれを促進させると思います。

また、技術分野でも、中国やインドがAI、半導体、電気自動車(EV)などで急成長しており、企業は従来の競争戦略を見直す必要があります。さらには、文化やスポーツ、そして医療の分野でも、欧米主導の流れから脱し、多様な国々からの様々な価値観が世界に広がっていくでしょう。最近、欧米で日本やアジア圏の映画が高く評価されているのも、その変化を表していると思います。

 

ニッポン人はこの時代をどう生きるべきか?

日本は、明治維新以降、先進国に追いつき追い越すために努力を続けてきました。有色人種でありながら、いち早く国際連盟の常任理事国となり、第二次世界大戦後も急速に復興して世界経済をリードする立場を維持してきました。しかし、その一方で、欧米の先進的な文明を吸収することに注力するあまり、日本固有の文化や価値観を軽視してきた側面もあります。現在、BRICSの台頭により、世界のルールや価値観も従来の白人社会中心から、より多様なものへと変化しつつあります。この流れの中で、日本の伝統的な文化や価値観を徹底的に再評価すべき時が来ています。

日本が誇る「和の精神」や「自然と調和した暮らし」、また「働くことを単なる労働ではなく、“はた(周囲)を楽にする”という意識で捉える価値観」などは、これからの世界が求めるものになるでしょう。経済はもちろんですが、環境・医療・教育の分野においても、日本は日本古来の宝物を掘り起こし、新興国と共に成長する道を模索すべきです。変わりゆく世界の中で、日本本来の魅力を駆使することで、持続可能で調和のとれた世界の実現に貢献すること。それこそが、これからの日本が世界に果たすべき新しい役割だと思います。

 

※ちなみにブリックスは2023年のBRICS首脳会議で、新たに6か国の加盟が決定しましたが、アルゼンチンは加盟を辞退したため、実際の加盟国は10か国となっています。ただし、このGDPの計算は当初の5か国が基準になっています。

多根幹雄
執筆者
多根幹雄
株式会社パリミキホールディングス
代表取締役会長
スイス、ジュネーブに1999年から9年間駐在し、グループ企業の資金運用を担当してきました。その間、多くのブライベートバンクやファミリーオフィスからの情報により、世界18カ国100を超えるファンドマネージャーを訪問。実際投資を行う中で、良いファンドを見極める選択眼を磨くことが出来ました。また当時築いたスイスでのネットワークが現在の運用に大いに役立っています。また、大手のメガネ専門店チェーンの役員として実際の企業の盛衰も経験し、どんな時に組織が良くなり、また悪くなるかを身をもって体験しました。そこから、どんな企業やファンドにも旬や寿命があるというのが持論です。その為、常に新しいファンドを発掘し、旬のファンドに入れ替えを行うことで、長期で高いパフォーマンスを目指しています。

運用体制紹介著書

関連記事
資産運用・投資セミナーを開催しております

投資信託にかかるリスク

投資信託は、値動きのある有価証券等を投資対象とし、基準価額は変動します。したがって、投資家のみなさまの投資元金が保証されているものではなく、
基準価額の下落により損失を被り、投資元金を割り込むことがあります。
投資信託は、預金等や保険契約とは異なって、預金保険機構、保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。
投資信託をご購入される場合は、最新の投資信託説明書(交付目論見書)や契約締結前交付書面等の内容を十分に確認のうえ、ご自身でご判断ください。

お電話でのお問い合わせ

お客様専用
無料通話

0800-5000-968

平日 9:00~17:00 定休日:土日祝・年末年始